2014年、インターネット広告におけるひとつのキーワードであった「リターゲティング」。その中でも「ダイナミックリターゲティング」というビッグデータ、アドテクノロジを利用した最先端の広告が、さまざまな企業のインターネットマーケティング活動において重要なポジションを築くまでに成長してきました。
連載第1回ではインターネット広告の歴史を「ターゲティング」の切り口で振り返りました。それを踏まえて今回は、リターゲティングの基本的な仕組みやテクノロジを歴史に沿ってご紹介し、ダイナミックリターゲティングの運用を紐解いていきます。
◇第1回
ネット広告の歴史を振り返る--「ダイナミックリターゲティング」誕生まで
リターゲティング広告は、過去にウェブページを訪問したことがあるユーザーに広告を配信し、再度訪問を促す広告手法です。2010年にGoogle AdWords広告コンテンツターゲットのひとつとして登場したソリューション「リマーケティング」は、設定・設計の自由度の高さから急速な広がりを見せました。
リターゲティング登場前のインターネット広告はサイト閲覧履歴、検索ワード、ユーザーデモグラフィックといった情報をデータソースとしてターゲットを設定していました。
対して、リターゲティングは、実際のサイト導線に応じてターゲットを設定できるため、広告プランニングの自由度を大きく拡大させました。 洋服のジャケットを購入したユーザーに、ボトムスを訴求するクロスセルや、休眠会員にアプローチするといった“実現が困難だったセグメント”への訴求が可能になりました。
リターゲティングの仕組みを簡単にご説明すると次のようになります。
・広告主が自社のウェブサイトページにタグを設置
このタグは、ユーザーが使用しているブラウザのCookieにユニークなIDを付与する役割をもっており、ユーザーがタグ設置ウェブページに到達したか否を判断することができます。これを“ユーザーをマークする”といいます。
・広告主がクリエイティブを事前登録
広告主は、マークされたユーザーに対して、どのようなクリエイティブを掲載するかを事前に媒体社へ登録しておきます。
たとえば、(1)あるTシャツのページを訪問し、購入までいたらなかったユーザーに対して、「別のTシャツを買うか、Tシャツ購入の検討に入っており、即断できなかった」という仮説から、再度そのTシャツのページへの訪問を促したり、(2)「そのTシャツが好みに合わなかった」という仮説から、別のTシャツの特集ページに訪問を促したりするなど、ユーザーがなぜ購入まで至らなかったかの仮説を立て、クリエイティブを登録します。
・広告配信の仕組み
一度マークされたユーザーが、該当ウェブページから離脱し、リターゲティング媒体社のパートナーサイトへ訪問した際に、事前に登録したクリエイティブが配信されます。
一般的にリマーケティングを提供している媒体社は、自社もしくは他社のサイトとパートナーシップを結び、マークしたユーザーが閲覧した際に、広告が掲載される枠を保持しています。
このパートナーシップは、自社枠の販売機会が増える側面と、直接販売するよりも高い値段で枠を販売できる側面から、双方のサイトにメリットのある取り組みとなります。リターゲティングで配信されるユーザーはサイトからサイトに移動しながら、閲覧・行動をしているため、この提携サイトが多ければ多いほど、ユーザーへ広告を掲載するチャンスはより増えます。また、リターゲティングで配信するユーザーは、再訪問した際に商品を購入する可能性が高いと考えられるため、広告主としても高い費用を投下することができます。
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