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新潮流「ダイナミックリターゲティング」

ダイナミックリターゲティング広告は「真のパーソナライズ」を実現させた - (page 2)

宮本潤 (Criteo)2015年03月19日 08時00分
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ダイナミックリターゲティングの登場とその特長

 2011年、リターゲティング広告を次のステージに引き上げる広告手法が日本に上陸しました。リターゲティングにレコメンド機能を掛け合わせたダイナミックリターゲティングです。

 ダイナミックリターゲティングは“訴求セグメントの粒度”と“訴求内容の自動生成”に大きな特徴を持っています。

・訴求セグメント粒度

 以前のリターゲティングは、タグ(またはタグによる情報取得後の媒体側の設定)により配信対象のセグメントを作成し、そのユーザー群へクリエイティブを設定する広告でした。これに対し、ダイナミックリターゲティングは、1ブラウザにおける情報を収集し、最適なクリエイティブを訴求するという特徴を持っています。

 すなわち、セグメントの粒度がユーザーグループ単位からユーザー単位(ブラウザ単位)となり、“真のパーソナライズ”が可能になったのです。

 「ジャケットを購入したユーザーに訴求する」というケースを考えてみましょう。

 ダイナミックリターゲティングにおいては、ブランドAのジャケットを購入したブラウザ、ブランドBのジャケットを購入したブラウザを別々のユーザーとして捉え、それぞれクリエイティブを変更します。これはリターゲティングにおいても、商品すべてに対してそれぞれクリエイティブを設定すれば可能ではありましたが、人間の手で管理していくのは現実的ではありませんでした。

・訴求内容の自動最適

 ダイナミックリターケティングはユーザーの行動履歴を加味したうえでのレコメンドアルゴリズムにより、どの商品を訴求すれば、もっともCTR(Click Through Rate)、CVR(Conversion Rate)が高くなるかという訴求の自動最適化機能を保持していました。

 粒度がブラウザレベルであれば、1つ1つのブラウザに対し、どの商品、どのランディングページ(広告からのリンク先となるウェブページ)が最適なのかをそれぞれプランニングすることは人の手では困難です。

 ダイナミックリターケティングでは、「ジャケットを購入するユーザー」が「次に購入するものは何か」というプランニング自体をもアルゴリズムに委ねることによって、人間の恣意的なプランニングよりも高いパフォーマンスを出すことが可能になりました。

 実際、Criteoにおいても、コンバージョンの半分が直前に閲覧した商品ではない商品、つまりアルゴリズムによってレコメンドされた商品となっています。


リターゲティングの仕組み

ダイナミックリターゲティングの仕組み

ダイナミックリターゲティングの運用とアドテク時代のマーケ担当者に求められる視点

 本章では、ダイナミックリターゲティングの運用について触れながら、アルゴリズムを組み込んだ媒体で最大限のパフォーマンスを出すために、マーケティング担当者がどのような視点を持つべきかを示唆していきます。

 本題に入る前に、全く違う分野での“人間とアルゴリズムの競争関係”について触れたいと思います。チェスにおける人間対アルゴリズムの競争です。当初は演算処理の問題から、人間に勝つことが難しいとされていたコンピュータチェスも、1900年代中盤からはハードウェアとアルゴリズムが改善されたことにより、大きな進歩を遂げていきました。そして1997年、IBMが1000万ドルで作ったスーパーコンピュータ“ディープブルー”は、15年間にわたり世界チャンピオンの座を守り続け、史上最強といわれていたガレリ・カスパロフ氏を破ったのです。

 では、現在の最強のチェスプレイヤーをご存知でしょうか。機械が人間を凌駕する進歩を続けたのでしょうか。人間がリベンジに成功したのでしょうか。この答えのヒントをダイナミックリターゲティングの運用とあわせてお伝えしていきます。

・インターネット広告の王道運用とダイナミックリターゲティング広告の運用

 インターネット広告は、「誰に(=セグメント)」「何を(=訴求)」見せるかを、最小かつ運用可能な粒度で設定し、全体の獲得単価を、投下費用とCVRのつりあいを入札の厚みで保っていくことが基本的な運用になります。

 A/Bテスト(どちらが良い結果になるのかを平行でテストする手法)を実施し、勝ちパターンを探し出していくことが運用改善である以上、このセグメントには、テストが可能な母数(統計上の優位性が一定の期間で判断できる母数)が求められます。

 この場合、問題となるのはA/Bテストの結果自体が「セグメント」の粒度に左右されてしまう可能性がある点です。実は、セグメントをさらに細かく分割した場合、分割した後のセグメントがそれぞれ違う勝ちパターンを示すケースは数多くあります。

 具体的にリスティングを例に考えてみましょう。

 ある不動産サイトへの集客を目的としたリスティング出稿において、「不動産購入」と検索したユーザーに対し、マンションを訴求するのか、建売を訴求するのかでA/Bテストをした結果、「マンション」が勝ちパターンであったとします。これを地域でさらに分割した場合、北海道や沖縄でも同じ傾向があるといえるのでしょうか。

 つまり、セグメントの大きさに限界がある以上、勝ちパターンとは“そのセグメントにおける最大公約数としての勝ち”でしかないということなのです。

 これに加えて、セグメントの分け方は管理工数に直結するため、現実的な粒度である必要があります。たとえば、リスティングの究極の運用は「1キーワード×1訴求」ですが、これが数十万パターンあった場合、管理は困難です。

 そのため、入札粒度は最小粒度のキーワード、訴求粒度はやや大きなまとまりで訴求テストをするといったような、現実的に管理や施策実施が可能な運用を選ばざるを得ません。

 ちなみにリターゲティングにおいてもこの粒度の問題は存在しており、配信される面×設置タグ×フリークエンシー×リーセンシー(最後のアクションからの経過時間)が最少の粒度でした。

 一方で、ダイナミックリターゲティングの場合、ブラウザを掛け合わせることで人間では運用不可能な粒度でのセグメントを実現したため、このような最大公約数を追求する運用ではなく、別の運用・設計思想が必要になっています。

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