Adobeは3月10日、デジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2015」において、小売店やホテルの部屋、自動販売機、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やウェアラブル機器といった実世界においても、パーソナライズされたデジタル体験を提供できる新ソリューションを発表した。
これにより、企業のマーケティングの影響範囲を、ウェアラブル端末やIoT機器を含むさまざまなタッチポイントにまで拡大できるという。新ソリューションの「Adobe Experience Manager Screens」は、第2四半期のAdobe Experience Managerの新リリースで提供可能になる予定だ。小売店舗やホテルの部屋などの実世界の空間にも、パーソナライズされた体験を提供するため、マーケターはどのようなIoT機器に対しても動画や画像、3Dモデルなどのインタラクティブコンテンツを拡張できる。さまざまなスクリーンに対応した単一のオーサリングUIを使い、マルチタッチ対応により、等身大のタッチスクリーンからモバイルアプリまで、コンテンツを移動させることが可能だ。
また、新しい「IoT SDK」を通じて、企業はさまざまな機器で消費者によるエンゲージメントを測定し、分析することも可能になった。Adobe Targetと併せれば、ウェブブラウザやアプリの枠を超え、IoTデバイスでもデジタルコンテンツのテストや最適化、パーソナライゼーションもできる。
さらに、新しい「Intelligent Location」機能は、企業がGPSやiBeaconデータを活用することで、実世界におけるブランドのプレゼンスを最適化させる。iBeaconデータの視覚化により、企業は小売店、スポーツスタジアム、空港、ホテル、美術館内でのトラフィックパターンや、顧客エンゲージメントを可視化できるという。マーケターは、1日を通した滞在時間、iBeaconなどと連動したプッシュ通知やアプリ内メッセージによる顧客インタラクションを確認、測定が可能。データの可視化により、店内レイアウトを変更し、ROIを最大化する商品ディスプレイを検討するといった利用もできそうだ。
デジタルマーケティング事業部門担当シニアバイスプレジデント 兼ゼネラルマネージャーのBrad Rencher(ブラッド・レンチャー)氏は「2020年にはあと200億のデバイスが登場すると言われている。マーケティングのキャンバスというのはどんどん広がっていく。Internet of Thingsと、Internet of Randomness、つまり無作為のインターネットの間で差別化していかなくてはならない。マーケティングの現在の定義以上のものを実行したいと思っている。すべてのタッチポイントでセールス、サービス、サポート、製品の構築にあたって“体験”というものを一貫して継続して消費者に実感してもらう。消費者は真の有意義な目的に関連したブランドを求めており、そうした消費者と深く有意義な関係を構築しなければならない」と語った。
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