Adobeは米国時間3月10日、米国ユタ州ソルトレイクシティにおいて年次で行われるデジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2015」を開催した。世界44カ国から7000人以上が参加し、3月12日まで行われる。包括的で統合されたデジタルマーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」に新たなソリューションとしてマルチスクリーンTVプラットフォームである「Adobe Primetime」と、データ管理プラットフォームである「Adobe Audience Manger」の2つを加え、既存の「Adobe Campaign」と「Adobe Analytics」の新機能を明らかにした。
さらに、モバイルマーケティングとアプリ開発の進化やプロダクトデザインへのマーケティングインテリジェンスの拡大、IoT(モノのインターネット)への対応、広告とマーケティング技術の融合なども発表した。このほか、IBMとのグローバルな業務提携やAccentureとデジタルマーケティングサービスを提供することも発表した。
初日の3月10日に基調講演した社長兼CEOのShantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏は、「クリエイティブなものが大切でそれををデジタルで提供するという基礎的な原理は変わらないものの、マーケティングの世界は新しく作り直す必要があると思う」と述べた。デジタルマーケティングによるビジネスはアート(クリエイティブ)とサイエンス(ビッグデータ分析)が一体化することで進んでいるが、それだけでは不十分で複数のチャネルでのコミュニケーションが必須になっており、そのすべてにおいて顧客の体験やパーソナライズがもっと要求されていることを認識することが、まずは必要だという。
そして、今後はアートとサイエンスを一体化させたうえでリアルタイムでのエンタープライズシステムも活用すべきだとした。「小売り、旅行会社、サービスの業界というのは、すでに製品やサービス自体がマーケティングだということを昔から知っている。サービスというのはブランドで、それをどのよに販売するかということ。何を販売するかということではなく、どのように販売するかということで競合と差別化してきた。たとえばuberはウェブサイトもしくはモバイルアプリが自分たちの製品であることをわかっている。これらを通じたユーザー体験がブランドそのもので、製品やサービスの発見から購入、ダウンロード、実際の利用まで一体化したユーザー体験ができるようにわれわれは支援する。すべての製品、サービスをマーケティングにするということが重要で、マーケティングがすべてのビジネスの中心である」と語った。
一方、デジタルマーケティング事業部門担当シニアバイスプレジデント 兼ゼネラルマネージャーのBrad Rencher(ブラッド・レンチャー)は、「マーケターは顧客の経験を全体として理解しなければならない。経験がそのままブランドになっている。顧客はブランドと多くの時間、いろいろなタッチポイントから接するようになり、顧客の期待は常に最高になっている。瞬時のアクセス、瞬時の情報を求め、製品やサービスを購入したいと考えている。コンテンツをどこでも、どんなデバイスでも購入したいとしているわけだ」とし、これを実践するために重要なキーワードとして「Consistent(一貫)」と「Continuous(継続)」の2つを挙げた。
メディアのチームやEメールマーケティングのチーム、サポートチーム、支社など社内組織はいろいろ分かれているが、顧客から見えればどことコンタクトしているかは関係なく、顧客がコンタクトし、行動した際にどこの部署であっても変わらず最高な体験を一貫して、継続して提供することが重要だというわけだ。
また、Rencher氏は「消費者とブランドをつなぐもの、そして一貫性と継続性の基礎としてモバイル性が鍵になる。(これまでのスマートフォンだけではなく)手やポケット、手首、壁面(スクリーン)、クルマなどデスクトップ以外のさまざまなポイントから利用されるようになる。デジタルの時代において、消費者の期待を満たして、すばらしい経験をすべてのチャネルやタッチポイントで提供できなければ、消費者はすぐにほかへ移ってしまう」と説いた。
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