この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを週替わりでお届けします。今回はシンガポールから、現地の日本食レストランの増加とニーズの広がりをお伝えします。
共働きの家庭が多いシンガポールの食文化は外食が中心です。それに加え、シンガポールは世界中のビジネスマンが集まり働いている国なので、さまざまなルーツのレストランが高い品質で存在しています。
所得についても居住者(国民および永住者)世帯の月収の中央値は、2013年で7870シンガポールドル(約68万円)と、日本の約36万円と比べて高く、自分が気に入ったものに対して、ある程度の対価を支払い楽しめる余裕があります。
そんなシンガポールで日本食レストランの人気は年々高まっており、現在では国内に900店舗以上の日本食レストランが存在すると言われています。
日本食人気の高まりについて、検索エンジンにおける検索傾向をGoogleトレンドで確認すると次のような流れが見えてきます。
これによると、japanese restaurant(日本食レストラン)の検索数は微増なのですが、sushi(寿司)やramen(ラーメン)など直接料理自体を表す単語は検索数が急激に上昇しており、日本食の認知が深化してきたことがわかります。
業態としては、ラーメン(例:一風堂)、居酒屋(例:WATAMI)、定食屋(例:やよい軒)、日本風カレー(例:CoCo壱番屋)、牛丼屋(例:吉野家)など、多種多様な日本食レストランが進出しており、シンガポール人の日本食に対する知識も日に日に深くなっているようです。
特にラーメンは、シンガポールの食文化が元々麺文化ということで広く受け入れられており、ここ数年で日系のラーメン屋が次々とオープンしています。
シンガポールに限らず海外の日本食レストランには、日系と日式の2種類があります。日系は日本人あるいは日本法人が海外に出店をしているもの。ラーメンの一風堂やカレーハウスCoCo壱番屋のような日本で有名な飲食店が進出している場合もあれば、日本人が海外で起業をしてレストランを経営していることもあります。日本人が商品開発をして品質管理をしているだけあり、“日本と変わらぬ味”を感じます。
それに対して日式は、現地の人が日本料理を出す店です。内装はいかにも日本料理屋という雰囲気で、丼ものやラーメンなど日本料理が楽しめるのですが、多くの料理が現地風にアレンジされています。日本人の口には合わない場合もあるものの、現地では逆に人気が出ることもあります。
一般的な飲食店のプロモーションについて各社の共通点としては、広告は抑えた上で、なるべく口コミが起きるようにする、ということかと思います。
オンラインだとFacebookやクーポンサイト、MEO(Google Mapへの登録)、オフラインだとオフィスにリーフレットを配ることや新聞、雑誌に広告を載せるなどの施策をしているようですが、基本的に広告にはあまりお金を使わずに、味やサービスなどの本質を追求してリピーターを増やし、口コミを増やすという形を取っているようです。
口コミが増えてくれば新聞や雑誌にも取り上げられますし、口コミサイト「hungry go where」などでも評判になりやすくなります。さらに人気ブログなどにも取り上げられやすくなり、好循環が生まれてきます。
最近ではレストラン予約サイト「Chope」などからの予約も増えてきているようですが、ラーメン店など予約ができない業態では口コミが大きなファクターになっているようです。
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