国際デジタルマーケティングカンファレンス「ad;tech(アドテック)」の関西版「アドテック関西」が11月26日と27日の両日、グランフロント大阪 コングレコンベンションセンターで開催された。世界では12番目、日本では東京と福岡に続く3番目の開催地で、今回が初めての開催となる。ここでは初日に開かれた、Facebook Japan代表取締役の岩下充志氏によるキーノートの模様をお伝えする。
Facebook Japanの現在の月間アクティブユーザー数は2300万を超え、この数字は読売、朝日、毎日、日本経済新聞の合計部数を超えている。冒頭で岩下氏は、10月中旬から放送しているテレビCMを紹介。世界初のブランドキャンペーンであり、4年目を迎えた日本市場に対する力の入れようを強調した。
2014年は日本市場を初とするいくつかの機能をローンチしており、10月にCEOのマーク・ザッカーバーグ氏が来日した際には、災害時の安否確認を行う新機能「災害時情報センター」を発表。表示を関西弁に設定できる機能は「関西の方々からは賛否両論があった」ものの、大きな話題となった。
◇来日時に語った内容
FacebookザッカーバーグCEOが来日--創業、後悔、日本への思いを語る
ビジネスにおける強みとしては、「スマートフォンとの抜群の相性」「デバイスをまたいだターゲティング」「パーソナルなクリエイティブ」「ROIの計測」の4つを挙げている。スマートフォンとPCとタブレットを併用するクロスデバイスがユーザーに浸透しているが、Facebookではいずれもが追跡可能であり、顧客が商品やブランドをどう認知し、接点を持つのかというカスタマージャーニーが把握できるという。またニールセンの調査によると、通常のオンライン広告が指定したターゲットにリーチできる割合が38%なのに対し、Facebookでは89%にもなるそうだ。
ニュースフィードにはユーザーに合わせてカスタマイズされた広告を表示できる。活用事例として紹介された花王のシャンプー「エッセンシャル」のケースでは、11種類の広告をユーザーに合わせて表示したことでシェアが1.5倍に伸びたという。コミュニティツールとしてのSNSから、企業の課題解決に使えるツールへと進化しており、認知度の向上、ダウンロード数と購入数の増加などでも成果が出ているそうだ。また、リクルート、日産自動車、キリンビールが主要メディアとしてFacebookを活用しているとも言っていた。
ビデオ視聴も急増しており、世界での1日あたりの動画再生回数は10億回にもなっている。2014年5~7月の成長率は50%で、そのうち65%がモバイルからの視聴である。米国では8月にPC上での動画再生回数がYouTubeを追い越し、ナンバー1プラットフォームとなっている。日本でもこの9月に動画投稿数が130万回と、1年で2倍に成長している。
当然ながら動画広告にも力を入れており、Reach(リーチ)、Relevance(適切さ)、Remarketing(リターゲティング)の3つの「R」を特徴とした展開を狙う。また、ターゲットへの精度の高いリーチとフリークエンシー(接触頻度)を設定できるのはFacebookだけであるとし、クリエイティブ配信が可能になると説明。オートプレイ広告も視野に入れ、動画広告そのものを進化させたいとの意気込みを見せている。
Facebook全体の方向性としては、2013年8月にザッカーバーグ氏が設立を発表したInternet.orgの取り組みを進め、発展途上国の50億人に対して引き続きインターネットのアクセス普及を目指すほか、デバイスの進化をリードするとしている。今年7月に買収が完了したOculus VRの技術を使ったバーチャルリアリティに向けた技術開発のほか、Instagramをはじめとしたマルチアプリ戦略にも力を入れる。
日本で成長するための投資も引き続き力を入れるとしており、すでにスタッフ規模は岩下氏が就任した当時より3倍に増えているという。ちなみに、今回発表されたいくつかの数字については、2013年12月に開催されたCNET Japan LIVE 2013の基調講演で岩下氏が発表した数字と比較してみると、Facebookの成長ぶりがより見えてくるかもしれない。
◇Facebookの「モバイルベスト戦略」
Facebookの4つの特性が広告の効果を変える--CNET Japan Live 2013
世界各都市で開催されているアドテックの中で、Facebookがブロンズスポンサーとなっているのは日本だけだという。アドテック関西では2日間ののべ来場者数が3470名と予定目標をクリアしており、これからのアドテクノロジに対する関心の高まりが感じられる。
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