(編集部注:米CNETによる「PlayStation 4」のレビューを前編と後編の2回に分けて翻訳して公開します。前編は11月22日に公開されています)
ソニーのデジタルエンターテインメントサービスは、われわれが初期レビューを行っている段階では、どれも開始されていなかった。しかし、バージョン1.50へのソフトウェアアップデートをインストールするとその状況は変わった。色々と試してみる時間はそれほどなかったものの、ちょっとしたデモや、ソニーが発表した情報の双方によって「PlayStation 4」(PS4)の持つエンターテインメント能力についてさまざまなことが分かった。
ストリーミングメディア:ソニーは、PS4の発売までに「Netflix」や「Amazon Instant Video」「Hulu Plus」「VUDU」「Redbox Instant」「Crackle」といった主要サービスの多くを含む14のストリーミングメディアアプリを提供すると約束していた。その数はちょっとしたものとなっているが、大手の「YouTube」や「HBO GO」が含まれていない点は気にかかる。なお、PS4のこういったアプリすべては既に利用可能となっているようだが、「Xbox One」は今から2014年春までのローンチウィンドウ(発売後の最初の数カ月)内にアプリを利用可能にすると述べるにとどまっている点は明記しておきたい。
またPS4は、「Music Unlimited」(「Spotify」とよく似た月額5~10ドルのサービス)と、「Video Unlimited」(PS4やそれ以外のさまざまなデバイス上で映画やテレビ番組のレンタルや購入ができるサービス)というソニー独自のストリーミングメディアプラットフォームもサポートしており、かつてないほどそれらを前面に押し出すとともに、中心に据えてもいる。PS4における主なインターフェースでは、ユーザーの過去のストリーミング状況と、現在の流行に基づいて、映画や楽曲に関するソニーのストアからのお勧めが定期的に表示されるようになっている。ただ、同ストアからの映画や楽曲はストリーミングのみであり、ダウンロードできないという点が「PlayStation 3」(PS3)とは違っている。ソニーは、HD画質の巨大な動画ファイルによってハードディスクが圧迫されないようにするためだと述べているが、利用しているブロードバンド接続の信頼性が低いユーザーにとっては、視聴前にすべてをダウンロードしておくという選択肢がなくなってしまうことになる。
ゲーム中でもMusic Unlimitedの楽曲をバックグラウンドで再生できるのは非常にうれしい機能ではあるが、同サービスのサブスクリプションが必要となる。一方、Xbox Oneでは「スナップ」機能を使えば、ほとんどすべてのアプリをバックグラウンドで動作させられるが、発売時点では2つのサウンドがミックスされるようになっているため、常に双方のサウンドが聞こえてくる。PS4では、いずれかのオーディオストリームの選択(あるいはミックス)が可能になっている。
ディスクプレーヤー:PS4のディスクドライブは、ゲームをプレイするだけでなく、Blu-ray DiscやDVDも再生できるようになっているものの、オーディオCDやSuper Audio CD(SACD)は再生できない。PS4でCDが再生できないというのは信じ難いかもしれないが、実際にCDをロードしてみると、「disc unsupported」(このディスクはサポートされていません)というメッセージが表示される。この点においてPS4は、PS3の「何でも再生する」という特長を捨て去っている。しかし、この状況は将来のファームウェア更新で変わるかもしれない。
デジタルメディアプレーヤー:30年前から使われてきているコンパクトディスクフォーマットをサポートしていないという理由でPS4の購入を見送ろうとしている人にとって、このコンソールがDLNAに準拠しておらず、MP3を再生できないという点は納得し難い話だろう。これが単なる発売時の制約であり、将来のファームウェア更新によって対応されるという可能性もあるとはいえ、現時点でのPS4はPS3のデジタルメディア対応レベルに及んでいない。
テレビと統合できない:最近発売されたXbox OneとPS4を比較してみると、PS4はMicrosoftがリビングルームにおける未来のテクノロジとして推進しているレベルでのテレビとの統合を実現できていない。番組表を画面に表示したり、画面を分割してテレビの視聴とゲームプレイを同時に行う機能は搭載されていないのである。
赤外線リモートとの互換性がない:さらにPS4はXbox Oneとは異なり、他のホームシアター機器をコントロールできず、赤外線を使用した市販のユニバーサルリモコンを使うこともできない。また、「Kinect」に搭載されているような多彩な音声制御機能もないものの、別売りの「PlayStation Camera」を使用すれば、前編で解説したようなある程度の音声制御が可能となっている。
これらすべてが致命傷となるわけではない。Xbox Oneを実際にテストしてみる機会が訪れるまで、どの程度うまく動作するのか分からないためである。とは言うものの、PS4はリビングルームにおける能力という点で、さほど大きな野望を抱いていないのは確かなようだ。
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