この連載では、企業でのアプリのプロモーション活用から、スマートフォン広告で重要な位置を占めるテクニカルな運用型広告、メディアやアプリ・マーケットなどの市場環境を含め、広告・マーケティング分野における“スマートフォンの今”をお伝えする。
今回は、スマートフォン広告市場を支えるメディアを6つのジャンルに分けて考察する。スマートフォン広告市場にも、さまざまなメディアが存在する。各メディアがポータル化、ソーシャル化していくケースもあり、諸説はあると思うが分類してみると以下のようになる。
このうち、フィーチャーフォン広告の黎明期、最大のシェアを占めていたのがキャリア系のメディアであるが、スマートフォン時代になって、さまざまなメディアが台頭し重要度が増してきている。
また、LINEはもはやポータルメディアともいえるが、昨今の傾向として特筆すべきLINEを、ここではコミュニケーションとして分けて見ていきたいと思う。直近で見ると、媒体単体として予約型スマートフォン広告の売上では、Yahoo! JAPAN、ドコモメディアが最も高く、次いでLINE、auメディア。その後、mixi、Amebaとなっている。
そこで今回から3回にわたり、これらのメディア分類の中から、ポータルメディア、ソーシャルメディア、コミュニケーション、ゲームプラットフォームにおける、スマートフォン上の広告手法、マーケティング戦略の傾向について述べていきたいと思う。
予約型広告の象徴的存在がポータルメディアのトップ面に掲載される純広枠であり、中でもYahoo! JAPANのシェアが高い。またスマートフォン広告におけるトピックスの1つとして、レクタングルサイズの開発がある。これは、PCで入稿するバナーサイズと同じデータがスマートフォンでもそのまま使えるというサイズだ。広告主は、1つの素材で両方に出稿できるので、セット売りがしやすくなった。PCでYahoo! JAPANの純告枠は最も人気が高く、それと合わせてスマートフォンでも展開できるので、出稿の増加につながっている。
しかし、そうした状況に今、変化の兆しが訪れている。というのも、Yahoo! JAPANが広告在庫を予約型ではなく、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)という独自のアドネットワークで運用する施策を展開し始めたからだ。現状ではまだYDNのネットワークの範囲は狭いが、徐々に拡充している。
こうした状況を受け、D2Cでもポータルサイト上の各コンテンツを活かした広告展開を改めて推進していこうと考えている。さまざまな方法論があると思うが、たとえば有名なキャラクターを持っているブランド、あるいはそうしたキャラクターとタイアップしたキャンペーンを企画し、ユーザーにもコンテンツのひとつとして受けとめてもらえるような展開を図る。キャラクターをクリックすると、そのブランドを体験できる広告などが考えられる。
あるいは、書評コーナーのようにアプリレビューコーナーをポータルサイト内に設けてもらい、レビュー記事を訴求して、アプリダウンロードへと誘導する。または、各ポータルサイトの人気サービスの会員を対象に、アンケート調査やモニター調査、さらに踏み込んでサンプリング調査などを実施しながら、企業の商品やブランドを訴求、あるいはベータ商品のブラッシュアップなどに活用していくという方法も考えられるだろう。
いずれにしても、予約型の広告枠も、運用型であるアドネットワークに在庫が回される時代になってきている。そのため、運用型で効率よく回していくか、あるいは媒体特性をうまく活用し、企画を練って、メディアとタイアップしていくか、スマートフォン上の広告展開は二極化している傾向がある。つまり、従来の枠販売を手売りするという手法は今後減少していくと考えられる。
次回は、ソーシャルメディアにおける広告の状況を解説したい。
(執筆:D2C レップ事業本部 メディア企画部 部長 澤宏明)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス