ネットとリアルを行き来する消費者の心を掴むには? - (page 2)

菅原太郎(D2C)2013年08月27日 15時47分

 つまり購買履歴などをもとに推定された趣味・嗜好から、ユーザーの生活に役立つ情報を自動的に選んで提供する機能を強化できるようになるのだ。このような仕組みを提供するソシューションとしては、リクルートホールディングスと電通、ブログウォッチャーがライセンスを取得している「Gimbalコンテクストアウェアネスソリューション」などがある。

 コンテクストアウェアネスとは、各種のセンサ機能を活用して周辺状況を把握し、それに応じた情報処理をする技術のこと。前回紹介した、位置情報を活用したジオフェンス機能と、ユーザーの興味や関心を推定するプロファイル機能が特徴だ。こうした技術をアプリに組み込むことで、ユーザーにより関連性が高いデータやコンテンツをタイムリーに提供できるようになる。

すべてのチャネルでオンラインとオフラインを連携させる

 O2O戦略も、こうしたオムニチャネルの実現とほぼ同義語だと考えている。オムニチャネルを実現するためのPDCAを回すにあたり、多くの場合に課題となるのが、実店舗とオンライン店舗(EC)の融合をどう促進していくかということだ。融合の意味は広いのだが、ここではデータマネジメントの側面から見ていきたい。

 たとえばクーポンを発行したとする。紙のクーポンやモバイルの電子クーポンでは、店舗に潜在顧客を誘導するという目的は達成できても、誰がそのクーポンを使ったのかはデータに残らない(POSレジ側の操作で、クーポンが使われた日時や場所、性別などは把握できる)。デジタルの特性を生かすのであれば、どのようなプロフィールを持った人がどの店でどのクーポンを使って、何を購入したのか。また、その後どのような行動をしたのかまで追えることが理想だ。しかし、そうなると独自端末を導入するなど大規模な予算措置が必要であったり、店舗でのオペレーションが増えたりと課題も生まれるため、工夫が必要だ。

 また、紙で発行していた会員証をデジタル化することも非常に重要だ。会員情報をデータ化することで、どの年代の人が商品を購入しているのかといった情報を蓄積できる。それは、いわば第1段階だ。第2段階ではECの購買データと店頭でのPOSレジ情報を一元管理する。顧客のオフラインの行動もすべて、オンラインのデータベースに集約していくわけだ。このような会員証アプリを活用する例は、今後も増えていくと思われる。

紙と同じように“もぎれる”次世代電子クーポン

 ただし、こうした集約作業は容易ではなく、ユーザーが配られたクーポンをいつどの店で使ったのかを、簡単に把握できるサービスが求められている。そうしたニーズの解決策として登場したのが「moggy(モギー)」というアプリだ。

 moggyは、スマートフォンの画面上に表示されたチケットやクーポンを、店員やスタッフがスワイプすることで“もぎる”ことができるサービス。専用のリーダー端末は不要で、個人や中小規模の事業者でも導入できる。国内では、チケット予約サイト「e+(イープラス)」などが、スマートフォン上でもぎれる電子チケットサービスを提供している。

 1度もぎると、そのクーポンは使用済になるのもポイントだ。見せるクーポンと違って実際にクーポンが使われたかどうかもわかるし、店舗を限定したクーポンにしておけば、自ずと使用店舗もわかる。さらに位置情報と組み合わせることで、使用場所を把握することもできる。店舗側は、もぎると現れる番号をPOSレジに打ち込めば作業は完了。このサービスなら、メーカーが配信するクーポンでも、各流通の窓口での使用情報を簡単に登録できる。

 O2Oを推進するためには店舗側の負荷をいかに減らすかが重要なテーマとなる。こうしたソリューションを取り入れながら、できるだけオフラインとオンラインの会員情報、また購買情報を一元管理し、マーケティング施策に有効なビッグデータを構築していくことが求められている。

 次回からは、スマートフォン広告市場の現状について解説しよう。

【次回】
売上比率にみるスマホ広告の最新動向--一般広告主が増加

(執筆:D2C 営業本部 ソリューション部 マーケティングプランナー 菅原太郎)

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