井上(アドビ):今まさに取り組んでいるところです。当初は私一人で進めていたのですが、日本の顧客に合わせた最適化も必要ということがわかってきたのとビジネスに与える影響が明確になってきたので、マネジメントの理解もありチームを拡大しています。
例えば、弊社は外資企業なので、グローバル統一のビジュアルやメッセージが基本になります。一般ユーザー向けの製品だとビジュアルに、金髪の西洋人のお母さんとかわいらしい子供が楽しく遊んでいるような写真が使われていることが多いです。ただ、顧客はお父さん、お母さんで、より親近感をもってもらうため、日本の家族の写真を使いたいと要望したのですが、却下されました。
それでは、テストさせてほしいと言って、ウェブサイトのメインビジュアルでテストしました。すると、やはり明らかに反応が違ったのです。そうすると、本社側のメンバーはこの結果で日本の特性とビジネスに与える影響を理解し、このローカライゼーションを認めてくれました。また、ウェブだけでもなく、この結果を元に次の新しいパッケージでは、裏の挿し絵などを日本独自のものにする流れもありました。こういう形で、日本としてきちんと訴求できる方法を本社に提案していく方法のひとつとして、積極的に『テスト』という手法を活用しています。
中西(CCC):販促セクションは、主に全国施策としてのキャンペーンなどの企画をしていて、その実施に向けたトライ・アンド・エラーを重ねていますが、実は施策については個別店舗ごとにやっていることもたくさんあります。そういった施策の場合、店舗の運営指導を行う地域のSV(スーパーバイザー)が店舗と共同で企画して実行するわけですが、実施するだけでなく、SVが自ら施策の効果検証までできるPDCAの仕組みできあがっています。ですので、店舗に身近なそれぞれの地域に250人のマーケターがいると言ってもよいかもしれません。
例えば、現場のアイデアでスマートフォン向けの個店でTSUTAYAアプリの登録を促進するキャンペーンを行うといった企画が生まれ、期間中にアプリを登録した方の利用状況などを分析するといったことについて本部でサポートするようなこともあります。個店で行われた施策が全国に波及していくようなこともありますね。
もちろん、個々のSVには分析スキルが高い人もそうでない人もいますが、販促セクションが相談に乗る形で調査や分析をサポートしていて「分析したけど、これってどう思う?」「この見方は間違いないよ、効果があるよね」というようなやり取りが繰り返されています。
中西(CCC):それぞれに専門家をおくことによる効率化やスキルの向上もあるとはおもいます。ただ「企画会社」を標榜するCCCでは、逆にインフラや情報を本部で集約するのではなく、できるだけ開放するようにしています。一人ひとりが自身で情報を手に入れられて、自分の頭で考え、企画できるようになっているわけです。店舗や地域で行う施策は現場に近いSVが企画できる環境を作っているわけです。
一方でTSUTAYA全体の商品政策を担当するMD(マーチャンダイザー)に同じデータを見ることができるので、調達や全国施策に至るまで、消費者の要求に適う商品を、適切な数量、適切な価格、適切なタイミングで提供するという体制になっています。また、こうしたデータの共有などには相当なIT投資をしてます。
浅野(キリン):すばらしいですね。たしかに、デジタルやデータを元に効果のほどを示すと説得しやすい、判断しやすいというのはありますね。
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