シャーリーン・リー氏は「オープンリーダーシップとは、謙虚に、かつ自信を持ってコントロールを手放すと同時に、相手から献身と責任感を引き出す能力を持つリーダーのあり方」と定義し、従来型のリーダーシップとオープンリーダーシップの比較表を提示した。
オープンリーダーシップは、情報を統制し、役員室という管制塔から「顧客や社員をコントロール」しようとするスタイルと一線を画したものだ。生活者がつながり、力を持った今、企業が「顧客や社員をコントロール」できると考えること自体が無理筋だからだ。オープンリーダーシップとは「顧客や社員の力をいかに追い風にできるか」という視点にたったもので「コントロールを手放す」ことからはじまるものなのだ。
一方で、ただ単にコントロールを手放すだけで、素晴らしい商品やサービスを提供することはできない。そのために「相手から献身と責任感を引き出す」ことが必要となる。その力の源泉は指揮権や人事権、情報統制ではなく、社員への奉仕や献身を通じて醸成された共感や信頼、尊敬だ。シャーリーン・リー氏が提唱する「オープンリーダーシップ」の5つのルールとは次の通りだ。
これらを見て、どう感じるだろうか。新しいベンチャー企業においては受け入れやすいが、統制システムが確立している大企業においては悩ましい。そう思われる方も多いだろう。そう感じた方は、ぜひ浅井氏のことを思い出してほしい。統制型組織の中でも、決して実現できないことではないのだ。最初の一人になるには強い信念が必要だ。しかし、その気持ちは徐々に伝わってゆく。オセロの石を裏返するように、社内に同志が増えていくはずだ。
今一度、自らの所属する組織のどこに問題があり、どうすれば自社がよくなるかを考えよう。この連載がそんなきっかけとなれば幸いだ。共感の時代、企業の好感度を向上させるのは、大金を投じて厚化粧をするブランディング施策ではなく、現場社員の信念と情熱、行動。そして彼らを信じ、強力にバックアップするオープンリーダーだ。
そう遠くない将来、日本においてもスマホやタブレット、そしてソーシャルメディアがほとんどの生活者にまで普及し、新しい時代に対応できない企業は、恐竜のように滅んでいく運命になるだろう。新しい時代に歓迎されるか、退出を宣告されるか。それは、僕たち一人ひとりの行動にかかっているのだ。
下記は、筆者による編集後記の動画です。
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