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組織の透明力

統制がきかない時代のリーダー像--鍵を握る「オープンリーダーシップ」 - (page 5)

斉藤徹(ループス・コミュニケーションズ)2013年07月23日 12時19分
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共感の時代のオープンリーダーシップ

 シャーリーン・リー氏は「オープンリーダーシップとは、謙虚に、かつ自信を持ってコントロールを手放すと同時に、相手から献身と責任感を引き出す能力を持つリーダーのあり方」と定義し、従来型のリーダーシップとオープンリーダーシップの比較表を提示した。

出所 : 『フェイスブック時代のオープン企業戦略』)
出所 : 『フェイスブック時代のオープン企業戦略』)

 オープンリーダーシップは、情報を統制し、役員室という管制塔から「顧客や社員をコントロール」しようとするスタイルと一線を画したものだ。生活者がつながり、力を持った今、企業が「顧客や社員をコントロール」できると考えること自体が無理筋だからだ。オープンリーダーシップとは「顧客や社員の力をいかに追い風にできるか」という視点にたったもので「コントロールを手放す」ことからはじまるものなのだ。

 一方で、ただ単にコントロールを手放すだけで、素晴らしい商品やサービスを提供することはできない。そのために「相手から献身と責任感を引き出す」ことが必要となる。その力の源泉は指揮権や人事権、情報統制ではなく、社員への奉仕や献身を通じて醸成された共感や信頼、尊敬だ。シャーリーン・リー氏が提唱する「オープンリーダーシップ」の5つのルールとは次の通りだ。

  1. 顧客や社員の持つパワーを尊重する
  2. 絶えず情報を共有して信頼関係を築く
  3. 好奇心を持ち、謙虚になる
  4. オープンであることに責任を持たせる
  5. 失敗を許す

 これらを見て、どう感じるだろうか。新しいベンチャー企業においては受け入れやすいが、統制システムが確立している大企業においては悩ましい。そう思われる方も多いだろう。そう感じた方は、ぜひ浅井氏のことを思い出してほしい。統制型組織の中でも、決して実現できないことではないのだ。最初の一人になるには強い信念が必要だ。しかし、その気持ちは徐々に伝わってゆく。オセロの石を裏返するように、社内に同志が増えていくはずだ。

 今一度、自らの所属する組織のどこに問題があり、どうすれば自社がよくなるかを考えよう。この連載がそんなきっかけとなれば幸いだ。共感の時代、企業の好感度を向上させるのは、大金を投じて厚化粧をするブランディング施策ではなく、現場社員の信念と情熱、行動。そして彼らを信じ、強力にバックアップするオープンリーダーだ。

 そう遠くない将来、日本においてもスマホやタブレット、そしてソーシャルメディアがほとんどの生活者にまで普及し、新しい時代に対応できない企業は、恐竜のように滅んでいく運命になるだろう。新しい時代に歓迎されるか、退出を宣告されるか。それは、僕たち一人ひとりの行動にかかっているのだ。


 下記は、筆者による編集後記の動画です。


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斉藤 徹
ループス・コミュニケーションズ
1985年3月慶應義塾大学理工学部卒業後、同年4月日本IBM株式会社入社、1991年2月株式会社フレックスファームを創業。2004年同社全株式を株式会社KSKに売却。2005年7月株式会社ループス・コミュニケーションズを創業し、ソーシャルメディアのビジネス活用に関するコンサルティング事業を幅広く展開。ソーシャルメディアの第一人者として、ソーシャルメディアのビジネス活用、透明な時代のビジネス改革を企業に提言している。講演回数は年間100回を超える。「BEソーシャル ~ 社員と顧客に愛される5つのシフト」「ソーシャルシフト ~これからの企業にとって一番大切なこと」「新ソーシャルメディア完全読本」「ソーシャルメディアダイナミクス」など著作は多数。

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