Marissa Mayer氏にとっての成功とは、世界のすべてのインターネットユーザーが毎日Yahooサイト群を利用して一定の時間を過ごすようになることだ。米Yahooの最高経営責任者(CEO)であるMayer氏は、「人々が日常的に利用する製品になることを目指している。少なくとも、その製品の一部にはなりたい」と話す。
今の問題は、11億ドルでのTumblr買収がより日常的な製品になるというYahooの目標達成にどのように貢献できるかということだ。
Tumblrは別会社として運営される。大学を卒業したばかりのYahooの子供のようなものだ。Yahooのプレスリリースでは次のように説明されている。「Tumblrを台無しにはしないという合意と約束にしたがって、Tumblrは別事業として独立運営される。David KarpはCEOに留任する。Tumblrの製品、サービス、ブランドは、これまでと同じTumblrの遠慮のなさ、機知、クリエーターに力を与える献身的な取り組みをもって、今後も独立して定義、開発されていく」
GoogleがYouTubeでしたように、TumblrをYahooの傘下に収めて別ブランドとして維持していくことは、既にYahooに疑いの目を向けている忠実なTumblrユーザーをつなぎ止めるのに効果があるかもしれない。しかしYahooには、それらのユーザーをさらに引き込む方法を見つけるという仕事が残っている。
最終的に、TumblrはYahooの組織に組み込まれる必要がある。Tumblrは10億ドルの買収金と引き換えに、Yahooが取り組む普及拡大、モバイル、ソーシャル、パーソナライズ、収益性の向上と、より若いユーザー層への訴求、そして成長の加速を促進しなければならない。Yahooの取締役会は、Mayer氏が同社再生のための適切な刺激剤を選んだと確信して、11億ドルという買収金額を承認したようだ。TumblrがYahooの戦略構想にどう合致していくかを詳しく見ていこう。
Yahooの月間ユニークビジター数は既に7億人を超えているが、その大半と、検索広告およびディスプレイ広告の売上高は北南米からもたらされている。次の10億人のユーザーを獲得することが課題だ。
Tumblrは、月間ユニークビジター数が3億人で、毎日12万人のユーザーが登録しているという。Yahooはプレスリリースで「TumblrとYahooの連合によって、Yahooユーザーが50%増加して月間訪問者数が10億人以上になり、トラフィックは約20%増加する見込みだ」としている。Mayer氏によれば、両サイトで重複するユーザーがほとんどいないため、Tumblrを手に入れたことでYahooのユーザー数は10億人を軽く上回るという。
「Yahooにとって刺激的な部分は、TumblrのコンテンツをYahooのニュースフィードやメディア体験に引き込むにつれて、Yahooサイト群がはるかに興味深く豊かなものになり、Yahooを訪れる人が増え、Yahooの中核サイトでの関わりが増えていくということだ」(Mayer氏)
Tumblrユーザーは同サイト上で1カ月当たり約240億分を費やす。comScoreによると、Tumblrは米国においてソーシャルネットワーク上で費やされる時間の約5%を占めているという。とはいえ、ほかのYahooサイトで費やされる時間が短期間で増える可能性は低い。また、Tumblrは現在12カ国語をサポートしているが、現段階ではYahooの世界シェア拡大に大きく貢献することもないだろう。YahooはTumblrの利用時間をFacebookのそれと比較して増やすことに注力して、ほかのYahooサイトの利用拡大を推進し、北南米以外の地域へリーチを広げることが必要となる。
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