サンフランシスコ発--Googleの「Android」チームのエンジニアたちは、Androidのアップデートが新しいデバイスに適時にロールアウトされるよう、今も懸命な努力を続けているという。
米国時間5月16日に当地で開催の開発者会議「Google I/O」において、Android開発チームの11人のメンバーが、打ち解けた雰囲気の中で、聴衆である開発者からの質問に答えた。Androidチームのメンバーらは、Androidエコシステムには依然として断片化の問題が存在することを認めたが、高速な革新のペースを今後も維持する予定であるとも述べている。
「このことについては頻繁に検討している。社内で開発プロセスを合理化し、Androidをより多層的なものにするべく取り組んでいる」。Androidプラットフォーム担当エンジニアリングディレクターのDave Burke氏はこのように述べた。
断片化はほとんど最初からAndroidの大きな問題だった。GoogleはAndroidリリースを次から次へと発表してきたからだ。デバイスメーカーと、スマートフォンやタブレットを消費者に販売するワイヤレス事業者は、Googleのペースについて行くことができていない。そのため、デバイスによっては新しいアップデートの提供までに数カ月かかる場合や、新しいソフトウェアアップデートが最後まで提供されない場合もある。
その結果、膨大な数のデバイスがいまだに「Android 2.2」(開発コード名「Froyo」)や「Android 2.3」(開発コード名「Gingerbread」)を搭載している。Googleがそれらのバージョンを最初に発表したのは2010年5月と12月のことだ。同社はその後、Androidのプログラミングインターフェースを大幅に変更している。
Burke氏によると、ソフトウェアを多層化することによって、チップメーカーとデバイスメーカーは、より短期間でアップデートを作成してソフトウェアのさまざまな部分を微調整することが可能となり、デバイスのアップデートが高速化するという。同氏はさらに、GoogleはAndroidを搭載した多種多様なハードウェアに対する理解を深める努力も行っていると述べた。
例えば、新興市場のAndroidデバイスの多くが旧バージョンであるGingerbreadを採用しているのは、メモリなどハードウェア面での制約があるからだという。Android自体はそれほど多くのメモリを必要としないが、アプリケーションはますます機能が豊富になっており、より多くのメモリが必要になっているとBurke氏は言う。その結果、最新バージョンのAndroid向けに開発されたアプリの多くは、古いデバイスでは動作しない。
「Androidの効率をさらに高め、エントリーレベルのスマートフォンでも利用できるように努めている」(Burke氏)
GoogleのAndroidユーザーエクスペリエンス担当ディレクターであるMatias Duarte氏も、Googleとサムスンが「純粋な」Android体験を得られる新しい「GALAXY S4」の提供を予定していることを指摘した。つまり、この特別なスマートフォンには、Androidの上にサムスンの「TouchWiz」ソフトウェアが全く搭載されないということだ。TouchWizは、Androidの新しいリリースが公開された際に変更が必要となる可能性がある。
「アップデートはOEM(すなわちデバイスメーカー)にとって複雑な問題だ。このサムスンのGALAXY S4では『Nexus』体験を得られる。アップデートもよりタイムリーに提供されるだろう」(Duarte氏)
しかし同エンジニアらは、Androidの革新サイクルのペースを緩める予定はないとも指摘している。
「Androidは誕生して間もない。できることはまだまだある。ハードウェアレベルでできることも非常に多い。今後もさらに多くの革新が実現する可能性がある」(Burke氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」