自身の趣味趣好にあった商品を簡単に購入できるスマートフォン向けECサービス「Origami」が4月23日に公開された。価格は無料。まずはiOS版から提供し、Android版とPC版も後日提供する予定。また、サービス提供にあわせてKDDI、DAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム)との業務提携を開始し、KDDI Open Innovation FundとDACから合計5億円の資金を調達した。
Origamiは、フォローしたショップやFacebookの友人の情報から好みの商品を見つけられるECプラットフォーム。アプリを起動し、Facebookアカウント、au ID、メールアドレスのいずれかでログインするとショップ一覧が表示されるので、最低3つ以上ショップをフォローする。ブランドやショップのアカウントをフォローすると、ホーム画面上にフォローしたアカウントの最新情報や商品情報が表示され、気になる商品があればワンクリックで購入できる。
同日の記者発表会で登壇したOrigami代表取締役 CEOの康井義貴氏は「Twitterを思い浮かべてもらうと分かりやすい。好きなブランドをフォローするとその情報だけが一カ所に集まってくる。個人が自分のネットワークを作り上げるコマースのインフラだ」と語り、既存のショッピングサービスとは一線を画すと強調する。
Facebookアカウントでログインすると、フォローしているFacebookの友人が購入したり「いいね!」をしたりした商品情報もホーム画面上に表示される。友人が実店舗にチェックインして撮影・投稿した商品の写真には店舗アカウントへのリンクが付与されており、友人の投稿を見てそのまま商品を買うことができる。マップ機能で、現在地付近のショップや商品を見つけることも可能だ。
「実店舗に行って写真を撮ったり、チェックインしたり、ツイートしたりする人はすごく多い。しかし、これまではアプリで写真を撮ってそれが友人のフィードに流れても、何のアクションもないまま、そのコンテンツは死んでしまっていた。Origami上で作られるあらゆるユーザーコンテンツはすべて広告になる」(康井氏)
取り扱い商品はファッションやコスメ、アート・ギャラリーなどが中心で、サービス開始時点では、BEAMS、森美術館、吉田カバン、MoMA DESIGN、HEAD PORTERなどのブランドが加盟している。また、現在500近いブランド、ショップからの申込みがあり、同社の審査を通過次第、順次追加していく予定だという。参加店舗の初期費用および月額料金は無料で、商品が購入された際に商品価格の10%をOrigamiに支払う成果報酬モデルを採用している。
康井氏は、多くの消費者の購買行動について「実店舗で商品に触れたり試着したりして、家に帰ってネットで少しでも安い商品を買っている。Eコマースによってむしろ実店舗から客が引き離されていた」と指摘。Origamiによって、この課題を解決するとともに、O2O(Online to Offline)としての効果も期待できるとした。
同日の発表会には、KDDIの執行役員専務である高橋誠氏も登壇した。KDDIでは、インキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」やベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund」を通じて、さまざまなベンチャー企業の活動を支援しており、Origamiとの業務提携や出資もその一環となる。
高橋氏によればスマートフォン経由での「auショッピングモール」の売上げは年間で約300%成長しているという。また、auショッピングモールでのかんたん決済の利用率が65%にのぼることから「このかんたん決済の利用率を生かして何かできないかと考えていた時に出会ったのがOrigamiだった」と明かした。
KDDIでは提携の第1弾として、Origamiのサービス内に「au IDログイン機能」と「住所入力支援機能」を導入。6月には「au かんたん決済」にも対応し、auユーザーがより簡単にショッピングできるようにする。その後も両社の技術やノウハウを連携・融合させることで「次世代のEコマースビジネスを確立していきたい」と意気込んだ。
また、KDDIと同じく資本提携したDACは、今後Origami上で展開する予定の広告やデータマーケティング事業において協業する。さらにOrigamiでは、男性向けライフスタイル誌「GQ JAPAN」をはじめとするさまざまなブランド、メディア、著名人によるエディトリアルコンテンツも提供するとしている。
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