シャープの空気清浄機の販売が好調だ。
昨年までの花粉や黄砂に加えて、今年はPM2.5の影響もあり、1月下旬以降、空気清浄機市場全体が盛り上がりをみせる中、国内最大シェアを誇るシャープの動きも活発化している。2月の国内販売実績は、前年同月比で40%増以上を記録。中でもPM2.5の影響がいち早く報道された九州地区では、2倍強の販売実績になっているという。
シャープ PCI・LED照明事業推進本部プラズマクラスター機器事業部商品企画部部長の冨田昌志氏は「PM2.5に関しては、公益社団法人の全国家電製品公正取引委員会(家電公取協)の表示ガイドラインに従って、0.3~2.5μmサイズの粒子に対して“HEPAフィルタ”の効果として99.97%以上をキャッチすることを示している」と説明する。
HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタは、空気中のゴミやホコリなどを取り除き、きれいな空気にする目的で使用するエアフィルタの一種。同社では、HEPAフィルタ搭載モデルで「99.97%以上キャッチ」と表示。通常のフィルタ搭載モデルでは「95%以上キャッチ」と、いずれも搭載フィルタによる除去性能を表示している。
PM2.5については、フィルタでの除去が基本となる。フィルタ性能で、その効果を表示することで、PM2.5に対応できることをうたっているというわけだ。
中国市場でも展開しているシャープは、PM2.5に関する取り組みで一歩早かった。
2012年夏の時点で、中国政府系機関の調査において、PM2.5の除去率で99%という評価を獲得。中国衛生部からは「空気消毒機」という認証も得ている。さらに、上海や北京などの主要都市で、PM2.5に関するセミナーを開催。PM2.5に関して広く理解を求めるとともに、シャープの空気清浄機の効果を説明してきた。
そうした取り組みもあり、中国向けの空気清浄機の販売台数は一気に増加。2012年の中国市場での販売実績は前年の2倍。今年1月には前年の3倍という実績に達した。
また、東南アジア諸国連合(ASEAN)市場でも空気清浄機の事業を拡大。中近東でも、砂ぼこり対策のひとつとして空気清浄機の販売が上向いているという。中近東向けには現地法人が独自に「砂フィルター」を製品化して、ユーザーから高い評価を得ている。
「海外での販売強化は2013年度の重点ポイントのひとつになる。中国は引き続き、前年の2倍となる販売規模が見込まれるほか、ASEANでも前年の1.5倍、中近東でも代理店ビジネスの強化を通じて販売拡大を狙いたい」(冨田氏)
欧州では北欧、東欧での販売拡大を推進。北米市場ではBest Buyを通じた全国展開に乗り出すという。
シャープの空気清浄機において、大きな特徴のひとつが「プラスマクラスターイオン」を搭載している点だ。
プラズマクラスターイオンは、自然界と同じ水素プラスイオンと、酸素マイナスイオンを人工的に作り出し、水分子がブドウの房のように、イオンの周りに集まり、安定して空気中に飛ばすというものだ。微少な粒子の表面に付着し、酸化力の強い「OHラジカル」と呼ばれる物質に変化。表面のタンパク質から水素を抜き取り、これらが結合。水になって空気中に戻るため、人がいるときにもそのまま使えるというのが特徴だ。
「自然の自浄作用を応用した高い安全性をもつほか、世界の学術機関での認証による確かな効果、イオンの高濃度化やデバイスの小型化による技術進化が、プラズマクラスターイオンならではの3つの要素だといえる」(冨田氏)
プラズマクラスターイオンを搭載する製品は、空気清浄機のほかにエアコンや冷蔵庫など同社の16製品に展開。さらに自動車や鉄道車両、介護施設や病院、公共施設、食品加工業など27社の異業種企業でも採用されている。コンシューマーからBtoBルートにまで幅広く使われているのも特徴であり、すで全世界100カ国以上で事業を展開。2013年度には、累計5000万台のブラズマクラスターイオン搭載製品の出荷が視野に入っている。
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