内沢::リアル書店の良さは本との出会えることだと考えています。本のネット通販や電子書籍は欲しい本がわかっている時には大変便利ですが、漠然と何か本が読みたいと思ったお客様が本を探すには限界が出てきてしまう。ネットや電子書籍では買いたい本に出会えないと感じているお客様は確実にいらっしゃると思います。ですから、書店を作ってほしいというお客様のニーズが衰えないのだと考えます。
書店を作ってほしいというニーズが高いのは、実はお客様が今の書店に満足されていないことだとも受け止めてもいます。そのご要望にお応えするためにも、ネット書店に負けないくらい品揃えを拡大し、超大型店を作っていくことにもチャレンジしています。
また今までのように、雑誌や文庫、ハードカバーといった本のパッケージによって商品を提案するのではなく、料理や車、アートと、お客様のライフスタイルを軸に商品を編集して生活提案することが重要だと考えています。それを具現化したのが代官山 蔦屋書店です。
代官山 蔦屋書店はいくつかのジャンルに特化した形で書籍を揃えています。該当ジャンルの品揃えに関しては、料理や旅行など、各ジャンルのプロフェッショナルである「コンシェルジュ」が担当しています。品揃えは和書にとどまらず、洋書やヴィンテージ本まで多岐に渡ります。またコンシェルジュは店舗に常駐していますので、直接お話しをしていただければ、本だけでなく、興味のある分野全体に対して理解が深まると思います。
そういうコミュニケーションの場を提供させていただき、お客様に満足を感じていただくことも、リアル書店の強みだと考えます。
内沢:本やDVD、CDを通して、お客様にライフスタイルを提案する「マルチパッケージストア(MPS)」をコンセプトに展開してきましたが、「マルチユースストア(MUS)」にも取り組んでいきます。 これは、コンテンツの楽しみ方の多様性に対応することを目指したもので、書籍、雑誌を販売するだけではなく、レンタルコミックや中古本「エコブックス」なども同時に楽しめるようなハイブリッド書店の一つの形です。実験的に電子書籍の取り扱いも開始しており、リアル書店の強みをいかしつつ、読書の新しいライフスタイルを常に提案していきたいと考えております。
高橋:もともとTSUTAYA自体は、書店やレンタルショップと業態を決めず、生活提案をする情報発信の拠点として取り組んできました。そういう意味では一般的な「業態」を固定化させていないことが特長と言えます。
そういう意味では、マルチユースストアとして展開していくのもTSUTAYAならではのあり方だと捉えています。私達が重視しているのは顧客価値がある店作りです。例えば、利便性や空間としての価値などを追求するために、お客様が欲しいと思う本が揃う大型店舗を展開していますし、BOOK&CAFEの導入も促進しています。地域に則した品揃えを強化しています。そうした中で、お客様に購入する 形態も選んでいただける。従来の書店の概念にとらわれない新しい「書店」を展開していくことは、お客様にとって新たな価値を提供できると考えています。
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