リアル書店で売上1位--TSUTAYAがこだわる書店のあり方とこれから - (page 3)

注力商材は雑誌、地域や商圏に合った品揃えで下げ止まりへ

--現在店舗数は約700店舗だそうですが、商圏もユーザー層も異なる中、店ごとの品揃えはどう差別化されているのでしょうか。

高橋:店舗ごとに品揃えは大きく異なります。、「SHIBUYA TSUTAYA」では、非常に若いお客様が多いため、コミックを強化した品揃えにしています。一方ビジネス街にある店舗ではビジネス書の売場を大きく取り、ショッピングセンター内では児童書を充実させています。

  • 料理や車、旅行といったカテゴリで品揃え。写真は「代官山 蔦屋書店」

内沢:店舗ごとの違いが、特にあらわれているのが雑誌です。雑誌各誌のコンセプトや特集は、ライフスタイルを提案する上で重要なファクターだと捉えています。最近では売上が厳しいという声もありますが、、趣味が多様化していく中で、その入口として最も鮮度の高い情報を得るためにも雑誌は必要不可欠なアイテムです。

 現在の伸び悩みはただ単に求める人に届いていないだけだと考えています。この状況は、店舗ごとに売れている雑誌だけが自動的に配本され、売れなかった雑誌がだんだん配本されなくなってしまうという仕組みに関係があります。

 一度配本されなくなってしまうと、もう二度と入荷されず、店舗スタッフもそれに気づかない。その仕組みを変える取り組みをTSUTAYAでは取次会社とともに2012年から開始しました。

 今までは自動的な配本におまかせしていましたが、それぞれの店舗の商圏特性を見直しました。例えばホームセンターが近くにある店舗であればDIY関連や園芸の雑誌を充実させるといった具合に、店舗ごとに商圏を分析し、それに付随する雑誌の配本を強化しています。加えて商圏に限らず、同様な立地で他店で人気のある雑誌を新規に導入しなおすといった取り組みも開始しています。そういった地道な施策を積み重ねることで、V字回復とまではいきませんが下げ止まりつつある状況にあります。

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