Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は、今のテレビ視聴体験はひどいものだと考えている。同氏はNBCのBrian Williams氏に対して、「リビングルームに入ってテレビをつけると、20年か30年前に戻ったような気分になる」と述べた。
Appleがどのようにしてテレビを素晴らしいユーザー体験に変えるのかということについて、Cook氏は一貫して明言を避けてきた。同氏はWilliams氏とのインタビューで、「テレビは大きな関心のある分野だ。それ以上のことは言えない」と述べた。Piper JaffrayのシニアリサーチアナリストであるGene Munster氏のように、Appleは2013年に、「iPad」がタブレット分野で成し遂げたのと同じことを実現するテレビを製造するだろう、と推測する者もいる。
セットトップボックスではないApple製テレビは2013年のホリデーシーズンに間に合うように発売される、とMunster氏は予想した。価格は1500~2000ドルになり、42~55インチの複数のサイズが用意される可能性が高い。
「平均的な消費者は、とにかくテレビ体験の改善を求めている。人々はテレビのようなオールインワン製品を好む」とMunster氏は話す。ユーザーインターフェース、リモコンの問題の解決、音声コントロール、アプリ、ゲーム、「FaceTime」がApple製テレビのセールスポイントになるだろう。
Walter Isaacson氏は自著のSteve Jobs氏の伝記本で、Jobs氏の発言を引用して次のように書いた。「『私は、あらゆる点で使いやすい統合されたテレビセットを作りたい。それは、ユーザーのすべてのデバイスおよび「iCloud」とシームレスに同期される』とJobs氏は私に語った。それが実現すれば、ユーザーはDVDプレーヤーやケーブルチャンネルの複雑なリモコンを苦労して使う必要がなくなるだろう。『そのテレビセットのユーザーインターフェースは、想像しうる最も簡素なものになるだろう。私はついにその解決策を思いついた』」
しかし、Appleの元幹部であるJean-Louis Gassée氏は、Cook氏と同氏のチームがその解決策としてテレビセットを検討しているとは考えていない。Gassée氏はMonday Noteへの投稿の中で、次の論理を提示した。
率直に言って、Appleが将来的にテレビセットを作る、あるいはそうしたいという希望を持っているとさえ私は思わない。前にも説明したように、その夢を実現するためには、コンピュータ、すなわち「Apple TV」モジュールのようなものをテレビセット内に設置する必要がある。18カ月後、そのコンピュータはムーアの法則にしたがって時代遅れになるが、スクリーンは依然として現役だろう。全く問題はない。コンピュータモジュールを取り外し可能にして、新しいものと簡単に交換できるようにすればいい、とあなたは言うだろう。それはAppleにとって、さらなる売り上げを意味する。そしてそれは、今日の独立したセットトップボックスへの回帰である。そのセットトップボックスは、仮説上のAppleブランドのテレビセットだけでなく、あらゆるHDTVに普及させることが可能だ。
もし策略や賄賂、訴訟などの手段によって、サブスクライバー1人当たりの売上高を拡大することの真理と妥当性を通信キャリアやコンテンツ所有者に信じ込ませることができるなら、「正しく作られたテレビ」はテレビセットではなく、次世代のAppleセットトップボックスという形で天国から舞い降りるだろう。
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