特許をめぐる対立にテクノロジ業界から大きな注目が集まり、企業から膨大なリソースが注がれるという状況の続くなか、有名企業数社が、イノベーションの足かせと捉えられる慣習に反対すべく立ち上がった。
GoogleやFacebook、Zyngaを含む大手テクノロジ企業8社が米国時間12月7日、米連邦巡回区控訴裁判所に意見陳述書を提出し、金融関連企業2社の間で争われている訴訟の要となっている特許を認めないよう求めた。このCLS BankとAlice Corporationの訴訟は、契約当事者に代わり、第三者がエスクローとなって資金を保持する手法のコンピュータ化に関連した4つの特許に関するものだ。
DellやIntuit、HomeAway、Rackspace、Red Hatも署名している、37ページに及ぶこの陳述書では、「コンピュータ上で」や「インターネットを介して」といった表現を抽象的概念と組み合わせただけでは、特許として成立し得ないと主張している。また同陳述書では、この問題が「ハイテク関係の文脈において極めて重要」であり、そういった特許を認めることはイノベーションの阻害につながると述べられている。
多くのコンピュータ関連特許が、高度に普遍化された抽象的概念を描写し、コンピュータ上や、インターネットを介してそれを行うと述べるだけにとどまっている。そういった必要最小限の描写しかしていない特許を認めるというのは、その概念の実装方法を限定せず、抽象的概念自体に独占的な権利を認めることになる。このような範囲で特許の保護を認めれば、意味のあるイノベーションを達成していない人々に対して独占的な権利を与えることになるうえ、その抽象的概念の応用を阻害したり、困難なものにする結果、イノベーションを実現する人々に対して不利益をもたらすことにもなるため、イノベーションを促進するのではなく、足かせをはめてしまうことになるだろう。
抽象的な特許を「ハイテク分野における疫病」と表現している同陳述書の結論には「コンピュータやウェブサイトの動作について抽象的概念を考え出すのは簡単であるものの、オンライン上でのイノベーションにおける困難で、価値が高く、しばしば画期的なものはその次の段階、すなわちその概念を日々の生活に有益なかたちで実現するために、インターフェースやソフトウェア、ハードウェアの設計や分析、開発、配備を行う段階である。端的に言えば、概念を考え出すのは、実装のための努力よりもはるかに簡単ということだ」と記述されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」