電子書籍の話題をなにかと耳にする機会が多くなった。iPadなどのタブレット端末での用途のひとつとして、電子書籍が挙げられることも多く、またKindleやkoboといった単語をネットのニュースで目にする機会も増えた。
日本国内ではまだ本格的にブレイクしているとは言い難い電子書籍だが、海外、特に米国では完全に市民権を得ており、一部ストアでは紙の本の売上を抜いたという報道もある。日本でもいずれ大きな波が押し寄せてくるのは間違いないところだ。
本稿では、巷の電子書籍の話題にやや乗り遅れた人を対象に、電子書籍のメリットとデメリット、端末の種類、ストアの選び方などの基礎知識を、3回に分けて紹介していく。ひととおり読めば“知ったかぶり”できる内容を心掛けているので、これまで電子書籍にはほぼ無関心だったという人も、これを読んで電子書籍との付き合い方を身に着けていただければと思う。
第1回となる今回は、電子書籍のメリットとデメリットについて紹介する。このテーマ自体はこれまで何度も語られているが、初代iPadや専用端末が発売されてから現在までの約2~3年の間に、技術の進歩などにより新たに浮上したメリットもあれば、一部事業者の運用のまずさなどから明確になったデメリットもある。こうした最新のトレンドを踏まえつつ、利用者視点でこれらメリットとデメリットを整理してみよう。
電子書籍の大きなメリットのひとつが「扱いやすさ」だ。物理的な重さや厚みがないので、何冊持ち歩いても(端末の重量は別にして)重さを感じず、かさばらない。朝の出勤時に「いま読んでいる本を今日中に読み終えそうだからもう一冊持って行こうか、どうしようか」といちいち悩まなくとも、まるごと持ち歩けばよい。旅行や出張にもうってつけだ。
また、紙の本を裁断してスキャンする「自炊」で生成した本にもいえることだが、電子書籍では物理的な置き場所、つまり本棚が不要になる。日本の狭い住宅事情を考えるとこれは大きなメリットだ。スペースの問題にとどまらず、本棚から出し入れする手間がかからなくなるのは、足腰が弱い人や年配者にとってはありがたいことだ。巻数が多い漫画単行本や雑誌のバックナンバーなどで部屋が占領されている人にとっては、このメリットは大きい。
どんな本を読んでいるか、周りから分かりにくいのもメリットのひとつだ。趣味の本など、自分の嗜好をあまり家族に知られたくない場合も、端末が1台あればこっそり楽しむことができ、電源を落とせば画面から消える。こうした本を何十冊、何百冊と所持しているとして、紙の本であれば置き場所に苦慮することになるが、電子書籍であれば端末内にコレクションしておけば人目につくことがない。専用端末ならパスワードロックをかけることもできるので、放置していて覗き見られる心配も皆無だ。
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