iOS 6用「Maps」アプリを独自開発したアップル--その決断は正しかったのか - (page 2)

Ben Parr (Special to CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル 編集部2012年09月27日 07時30分

 iOS 6のMapsは、美しくデザインされたアプリケーションではあるが、明らかにまだ主役になれる水準には達していない。これは意外なことではない。Google Mapsは登場から7年以上が経過している。そしてGoogleは、Google Mapsを担当する従業員を7000人以上抱えており、それには「Street View」を支える数千人の運転手も含まれる。Appleは逆に、ユーザーがMapsで発見した多数の大きな穴を修復するエンジニアを必死になって雇っている

 ここで最初の質問に戻ろう。AppleがMapsに関して下した決断は正しかったのだろうか。結果を見て、AppleはGoogleとの提携を続けるべきだった、あるいは独自のMapsアプリのリリースをもう1年待つべきだった、と言うことはたやすい。しかし、Appleが対処しなければならなかった次のような要素を考慮してみてほしい。

  • GoogleがiOSの重要な一部を掌握するのは受け入れられないことだった。AppleがGoogle Mapsの代替アプリを持っていなければ、Googleの要求が大きくなる可能性もあり、Appleはそれを受け入れざるを得なかっただろう。メジャーなスマートフォンにとって、デフォルトのMapsアプリケーションが備わっていないのは考えられないことだ。
  • Appleの独自Mapsアプリのリリースが長引けば長引くほど、Google Mapsの地位はより確固としたものになるだろう。
  • 新しい地図アプリケーションの大規模なテストを行う唯一の方法は、ユーザーに向けてリリースすることだ。ユーザーは小規模なエンジニアチームよりも速やかに誤りを見つけることができるだろう。
  • 大量のユーザー生成データがなければ、地図アプリケーションは大きな進歩を遂げることはできない。

 結果論で考えてみても、Tim Cook氏とAppleのチームはMapsに関して、正しい決断(そして彼らにできる唯一の決断)を下したと筆者は思う。確かに彼らはiOS 6でMapsをリリースする前に、ベータ版としてユーザーにテストしてもらうべきだったが、それは同社の流儀ではない。その上、もしAppleがベータ版をリリースしていたら、GoogleはAppleが構築した地図アプリを分析し、その最高の機能をGoogle Maps向けに作り直す多くの時間を得ていただろう。

 iOS 6のMapsは、どう考えても残念なアプリだ。筆者の友人の中には、Mapsが理由でiOS 6にアップグレードするのを拒んでいる者もいる。しかしAppleは、Mapsの公開をもう1年延期したとしても、何も得るものはなかっただろう。そしてAppleはたとえ1分でも、必要以上に長い間、GoogleがAppleの地図テクノロジを掌握するのを認めるつもりはなかった。

 Appleは多くのバグを含むMapsに関して、激しい非難を浴びている。しかし、同社はMapsをリリースするという正しい決断を下した。今問題なのは、Appleがいかに速くiOS 6のMapsにある多くのバグを修正し、それによって引き起こされた否定的な報道を食い止められるかということだ。恐らく、Appleにとって苦しい時間がしばらく続くことになるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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