自分がAppleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏になったと想像してほしい。あなたは市場で最大の利益を上げる携帯電話、すなわち「iPhone」を掌握している。そしてAppleのモバイルOS、つまり「iOS」とそのOS上で動作するアプリケーションを完全に掌握している。
ただしこれは、真実を正確に表しているとは言えない。あなたはiOSを完全に掌握しているわけではない。なぜなら、デフォルトのアプリケーションの2つは、最大の敵であるGoogleが提供するテクノロジとデータに大きく依存しているからだ。筆者が言及しているのはもちろん、初代iPhoneの頃からiOSの一部に含まれているYouTubeと「Google Maps」のことだ。
YouTubeの排除は簡単なことである。GoogleはYouTubeアプリを完全に掌握することを欲していた。そしてYouTubeはAppleの中核的な事業とは競合しない。Googleが「App Store」を通してYouTubeアプリを提供するのは問題ではない。どちらにせよ人々は、YouTubeがなくてもiPhoneを快適に利用できる。
しかし、「Maps」となれば話は別だ。地図はあらゆるスマートフォンの中核的な機能である。すべてのスマートフォン所有者は地図を必要としている。AppleがiOSからMapsを完全になくしてしまったとしたら、顧客はほかのスマートフォンに移行し始めるだろう。Mapsはそれほど重要である。
したがって、あなたがTim Cook氏なら、選択肢は2つある。1つは敵であるGoogleがデフォルトのMapsアプリケーションを提供し続けるのを容認すること、そしてもう1つは、Apple独自のMapsアプリを構築して、Googleをお払い箱にすることだ。
これはTim Cook氏と同氏のチームが直面した決断で、そのとき彼らは、Google MapsをiOSのデフォルトの地図アプリとして使わないことに決めた。Appleはその代わりに、独自のMapsアプリを構築する決定を下した。AppleのMapsアプリは部分的にTomTomのデータを利用している。
読者の多くがすでに知っているように、AppleのMapsはリリース以来、批判にさらされている。さまざまな不満が聞こえてくる。例えば、公共交通機関のルートが表示されない、都市やランドマークの名前が間違っている、川が表示されない、農場を空港と取り違えている、などである。iOS 6のMapsの誤りを取り上げたTumblrページまで登場し、人気を呼んでいる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」