Appleがフルサイズ版「iPad」の売上に影響を与えない「iPad mini」を作り出すことは可能だろうが、それは前の世代のテクノロジを用いるということを意味しているのかもしれない。
米国時間8月15日、ZDNetのJames Kendrick氏はAppleがiPad mini(ちなみに同氏は、この製品をiBookだと称している)で世界を揺るがす可能性のあることを示唆した。Appleはこの製品を適切な価格で市場に送り出すことができるのだろうか?
では、この疑問について考えてみることにしよう。
筆者はiPad miniというアイデアについて諸手を上げて賛成しているわけではなく、その存在価値はGoogleやAmazonといった企業が7インチディスプレイを搭載したAndroidタブレットである程度の成功を収めているという点にしかないと考えている。つまり、AmazonとGoogleが7インチのデバイスを用意しているのであれば、Appleも対抗製品を用意しなければならないというわけだ。
iPad miniの問題はその価格になるだろう。「新しいiPad」の価格は基本モデルで499ドルからとなっており、「iPad 2」は399ドルからとなっている。このため、既にiPad 2と新しいiPadという製品があるなか、iPad miniが市場で競合していくには、その価格を299ドル以下に設定するのが望ましい。
ここで、iPad 2や新しいiPadについて、iSuppliが作成した2012年3月時点での部品価格表を見てみることにしよう。
新しいiPadをベースにスケールダウンするという戦略では、採算に合わなくなるという問題が持ち上がってくるはずだ。より小さなiPadの製造コストがフルサイズ版iPadのそれよりも20%安くなったとしても(部品価格は3月時点よりも安くなっているはずだ)、このデバイスの部品コストと組立コストの合計だけで250ドル前後になってしまうだろう。
にわかには信じられないかもしれないが、iPadを小さくしてもその価格はさほど安くはならないのである。
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