Tim Cook氏は米国時間8月24日に、公式にAppleのフルタイムの最高経営責任者(CEO)に任命されてから1年目を迎えた。Cook氏は同社の7人目のリーダーであり、テクノロジ界の巨人であるAppleの共同設立者、Steve Jobs氏の後継者でもある。
しかしこの12カ月間、Appleはまったく調子を崩したところを見せなかった。これはすべてCook氏の手柄なのだろうか、それとも努力と単なる幸運のたまものなのだろうか。
Steve Jobs氏は、末期の膵臓がんで2011年1月に医療休暇に入った。当時最高執行責任者(COO)であったCook氏が事実上のリーダーとなり、巨大テクノロジ企業であるAppleの通常業務の面倒を見る一方、Jobs氏も役員として残り、責任者としてあらゆるCEOが下す必要のある難しい判断を下していた。
Jobs氏は最期の日が近づいてくると、2011年8月24日に退陣し、Cook氏が同社を引き継いだ。Jobs氏の病状について、詳しいことは明らかにされていない。同氏は10月5日に亡くなった。「iPhone 4S」が発表された次の日だった。
Cook氏がAppleのトップに就いてまもなく、米ZDNetのLarry Dignan編集長は、数多くの期待されているソフトウェアやハードウェアのアップデートを控える中(「OS X 10.8 Mountain Lion」は7月にリリースされ、「iOS 6」はこの秋に出る予定であり、「iPhone 5」は9月中に発表される可能性が高い)、すでにウォームアップを終えた新CEOを待ち受ける5つの課題についてまとめた。
同氏は、それらのハードルをどう乗り越えたのだろうか。
人材流出。Cook氏はスタッフに対して最初のメールで、Appleは「今後も変わらない」と述べている。確かに、少なくともわれわれが知っている限りでは変化はほとんどない。製品サイクルは維持されているし、同社の開発者向けカンファレンスである「WWDC 2012」は計画通りに実行され、「誰とも話さない」文化は残っている。ただし、Cook氏の念には念を入れて秘密を保持するという方針にも関わらず起きたiPhone 5のものと言われるリークのせいで、「iPhone 4」のリーク騒動の時と比べても、次回の発表での驚きは小さいものになるかもしれない。
同氏が直面した問題の1つは、Jobs氏がいなくなっても人材を維持できるかということだった。Cook氏はJobs氏が最後の医療休暇を取った際、多くの上級役員とバイスプレジデントが会社を離れるのを見送った。すなわち、辞職を強いられたとも言われているAppleの前セキュリティ部門責任者のJohn Theriault氏、小売担当責任者のRon Johnson氏、Macのソフトウェア担当バイスプレジデントBertrand Serlet氏、iAdのモバイル広告担当バイスプレジデントAndy Miller氏の辞任だ。Cook氏の代になってから辞めたのは、あまり強いられたわけではない財務を担当していたBetsy Rafael氏だけだ。
真似のできない、実行不可能な業績への期待?Cook氏はJobs氏のやり方を継承すると表明したことはないし、そうするよう特別に期待されていたということもない。もしCook氏がJobs氏の影から脱するのではなく、Jobs 2.0になろうとしていたら、おそらくスタッフや投資家、Appleのファンたちからは非難されただろう。
このことは、最初は心配された。Appleがどうなるのか、誰にも分からなかったからだ。Cook氏は独自の路線で行くのか、何事もなかったかのように引き継いでいくのか?実際に起こったのは、その両方でもあり、同時にそのどちらでもなかった。AppleはJobs氏の死後、新しい夜明けを迎えた。Cook氏はAppleを引き継ぎ、自分の流儀で鍛え直したのだ。同氏はAppleの成功に対する自分の貢献を主張して、十分に名声を得たが、自分をニュースにはしないように気をつけた。
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