第5回 顧客タイプ別対応法(その2) - (page 3)

 この連載では、コンサルティング・セールスの「初対面」で使える実践的な知識やノウハウを解説してきました。もちろん、第1回でコンサルティング・セールス・サイクルについて紹介していたように、初対面以外でも、準備、説明、反論への対応、クロージングといった重要なプロセスがあります。拙著「『コンサルティング・セールス』のすべてがわかる」(産業能率大学出版部)で詳しく紹介していますので、ご興味があればご覧ください。

 第1回でご紹介したように、残念ながら約半数の営業担当者は営業の仕事を続けたいとは思っていないようです。ただ、私自身の経験から言っても、営業は自分自身を成長させることができる素晴らしい仕事です。自分自身の成長を実感できれば、きっと営業の仕事も楽しくなるはずです。

 では、自己成長を意識的に、効果的に進めるためには、どうすればよいのでしょうか。

 現状を変革するためには、何をどの方向でどのように変革するかがはっきりしていなければ、変革のエネルギーを浪費することになります。そのため、自己成長のためには、まず、自らの「理想」を明確にするのです。理想を描く際は、「現在のこと」はあまり考えず、「将来のありたい姿」を描きます。いわば「ゴール」です。この大きなビジョンを描くことができていなければ、自分自身がどこに向かってよいのか分からなくなってしまい、エネルギーを浪費してしまうのです。

 大を為すためには、大なる想いを固めなければいけません。自分が豊かになるイメージでもいいし、家族のためでもいいでしょう。ただ、一番望ましいのは、世のため、人のためになりたいと願うことです。

 大きなビジョンを描くことができたら、細かく、ひとつひとつ、手を打っていきます。大きなビジョンであればあるほど、やらなければいけないことがたくさん見えてくるでしょう。それゆえ、必要なことをできるだけ細かくリストアップし、優先順位を付けていきます。

 大局を見据えて、小さな手を打つ、まさに「着眼大局、着手小局」の観点です。これこそが自己成長の近道です。営業という素晴らしい仕事を通じて、自らの成長を成し遂げていただきたいと思います。

著者 荒巻基文 紹介 
1949年生まれ。京都出身。京都教育大卒。ソニー企業にて海外での人材育成業務などに携わり、96年に独立。企業研修や指導を行うアイビジョン株式会社を設立し代表取締役。2009年から産業能率大学経営学部教授。部下指導法や営業、プレゼンテーションなどのビジネススキル、キャリア開発、異文化コミュニケーションなどの領域で、著名企業での研修実績多数。著書は、『「教え方」教えます』『プレゼンテーションの技術』『Perfect「ビジネスコミュニケーション」』(いずれも産業能率大学出版部)など。この連載の詳しい内容は、『コンサルティング・セールスのすべてがわかる』(産業能率大学出版部)で多く紹介している。

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