米国東部時間3月23日の午前11時少し前に、Appleの株価が急に9.4%下落して542.80ドルになった。これを受け、取引を一時停止する「サーキットブレーカー」の措置がとられた。取引開始価格600.49ドルからの下落幅は57.69ドルだった。
The Wall Street Journal(WSJ)によると、原因はNYSEとNASDAQに競合する株式取引所であるBATS Global Marketsにあったという。
この事件は、BATSは22日夜に同社自体の新規株式公開(IPO)価格を設定し、23日午前に取引を開始したことに始まる。NASDAQは、「明らかに誤った」取引の存在に気がつき、BATSでの取引を停止したとWSJは報じている。続いて米国東部時間午前10時48分、BATSが「ティッカーシンボルA~BFの間の銘柄でシステム上の不具合が発生」していることを警告。ティッカーシンボルAAPLのAppleもこれに含まれていた。
約10分後の米国東部時間午前10時57分36秒、BATS取引所におけるApple株式100株に対する単一の取引によって、株価が542.80ドルにまで一気に下落した。ここでサーキットブレーカーが発動し、事態は(一応)収まった。
結局、被害は生じなかったようだ。MarketWatchは、誤発注はキャンセルされ、Apple株式の取引はすぐに再開されたと報じている。
WSJは、米証券取引委員会(SEC)がコンピュータ化された高速株式取引に対する調査を実施する最中に、今回のBATSでの問題が発生したと指摘している。SECは、米国の株式市場を大きく混乱させた2010年5月の「フラッシュ・クラッシュ」を受けて、こうした調査をするようになっていた。このフラッシュ・クラッシュも、単一のコンピュータ化された取引が引き金となって生じたものである。
以下に、BATSと、SECによるその調査に関するWSJの記事を引用する。
今回のBATSの思わぬ障害は、SECがGETCOやBATSに出資するTradebot Systems Inc.といった一部の企業が、BATSなどのコンピュータ化された株式取引所との密接なつながりを利用して、他の投資家よりも不当に優遇されていないかを調査する最中に生じた。(中略)調査はまだ初期段階にあり、不正な行為を示唆する情報は出ていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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