Appleのサプライチェーンにおける労働環境に対しては、多くの批判が寄せられている。批判の主な矛先は鴻海精密工業(Foxconn)の中国工場に向けられている。
GreenpeaceがITメーカーに対して、より環境に優しく、リサイクル可能な材料を使用するよう求めるキャンペーンを行っていた際、Appleはその批判の矢面に立たされていた。Greenpeaceによる採点でAppleの評価が良くなかったのは事実だが、他社の評価も称賛にはほど遠いものだった。とは言うものの、Appleを槍玉に挙げたことで、このキャンペーンは大きな注目を集めることに成功した。
これと同様に、AppleはFoxconnの唯一の顧客であるわけではない。Foxconnの顧客リストにはAcerやDell、Hewlett-Packard(HP)、任天堂、Nokia、サムスン、ソニーなど、テクノロジ業界の大手企業が名を連ねている。Foxconnの工場で死者が出たという事件をAppleと関連付けることでニュースの見出しがインパクトのあるものになるとはいえ、この事件の責任はAppleだけではなく、Foxconnと取引のある企業すべてにもあると言えるだろう。
Cook氏は、Foxconnの労働環境が標準以下であるという報道を受け、迅速に対応策を打ち出した。2012年1月上旬、同氏はより透明性を高めるために、サプライヤーに求める行動規範を自社のウェブサイト上で公開するとともに、公正労働協会(FLA)に加盟したうえで、Foxconnを含むサプライヤーの工場に対する自主監査を行うと発表した。
Appleは過去5年にわたり、サプライヤー責任進捗報告書を毎年公開してきているが、Cook氏は1月、労働環境がAppleにとって重大な関心事であることを表明し、同社の取り組み姿勢を説明することで、さらなる透明性の向上を図ったというわけだ。
Appleは今や、世界で最も地球に優しいITメーカーの1つとして名前を挙げられるまでになっている。同社が環境問題に対して行ってきたことと同様の取り組みを、サプライヤーとの関係や労働環境に対しても行ったのであれば、Appleが業界の旗手となり、他社もその後に続くようになるかもしれない。Appleは2007年から毎年、サプライヤー責任進捗報告書を公開しているものの、Cook氏の発言によって、Appleがこういったことに多大な関心を寄せているという積極的なアピールが行われているというわけだ。
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