Apple最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は、同社の契約メーカーであるFoxconnの労働環境に関するThe New York Times(NYT)の記事について、事実に反しており不快だと反論した。
Cook氏は、9to5Macによって公開された従業員宛の長文書簡の中で、Appleが同社サプライチェーンの作業員のことを大切に思っており、作業員の処遇を監査するための対策を講じていることを説明した。NYTはこの書簡の前に、Appleにとって中国で製造することがいかに、a)米国が機敏さを欠いているために必要であるか、そして、b)電子機器を米国外で製造することがもたらすコスト面でのメリットであるかについて、詳細に報じている。
同記事は主にAppleを対象としていたが、NYTはテクノロジ業界に問題があることにもわずかながら言及している。NYTの記事はこのテーマについて、それほど深く掘り下げていない。Appleを主題にした方が、話が面白くなるからだ。筆者はこれまで、Appleのサプライチェーンをめぐる議論についてあまり意見を述べてこなかった。なぜなら、Appleはテクノロジ業界の成功者であるという理由で標的にされていると思うからだ。実際のところ、AppleとFoxconnの話はテクノロジ業界だけの問題というわけではない。これは米国の問題であり、テクノロジよりもはるかに範囲の広い消費者の問題である。
つまり、Cook氏がNYTの報道に腹を立てるのはもっともな話だと言える。さまざまな企業の中でAppleだけが取りざたされているからだ。
もっと広い視点に立っていくつか考えてみた。
Appleは海外生産の象徴的な存在かもしれないが、Hewlett-Packard(HP)もFoxconnを頻繁に利用している。アナリストの試算では、AppleがFoxconnの2012年の売上高に占める割合は約40%になる見通しだという。Fubon Researchは、HPの割合を約25%だとしている。HPのサプライチェーンに関する報告書はAppleのものと同じような内容だが、HPについては書かれた記事はない。現在、われわれが持つすべての電子機器は中国を経由している。それらのデバイスの裏でクラウドを動かすデータセンターも、中国のテクノロジ関連企業の寮に住む人々によって作られたものだ。バッテリに含まれる鉱物はどこかで採掘されたものだ。こうした比較的安価なデバイスが製造された労働環境について、心の底から気にかけているだろうか。もちろん、そんなことはない。われわれは欧米経済に属しているからだ。そして筆者が見る限り、われわれは今でも可能な限り多くのテクノロジ機器を買い続けている。
このFubon Researchの表は、Hon Haiの売上高の内訳を大まかに示している。Hon HaiはFoxconnの親会社だ。
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