Steve Jobs氏がAppleの最高経営責任者(CEO)を辞任し、後任には予想通りTim Cook氏が選ばれた。しかし、Jobs氏はAppleの取締役会長に就任する予定で、今後も主要な製品戦略および設計に関する問題に関与する可能性が高い。Cook氏がAppleの真の顔になるのはいつのことなのだろうか。
David Morgenstern記者が述べたように、Appleのトップは交代したが、空が落ちるような大変なことは起きなかった。そして、Walt Mossberg氏やOm Malik氏などが記事に書いたJobs氏の見解を読めば、明白なことが1つある。Jobs氏はまだ去ったわけではなく、死期が近いという示唆は極めて時期尚早だ。もちろん、Jobs氏が人前に姿を現すことは少なくなるだろう。しかし、同氏は実業界で最も企業経営に深くかかわる会長の1人になるだろうと言っても間違いはない。Jobs氏のCEO辞任は驚くべきことではなかった。だが、それでも結果的に多くの人を驚かせた。
そうした人事の動きは興味深い疑問を提起する。Cook氏の時代は正確にはいつ始まるのだろうか、というものだ。Cook氏はあらゆる所から称賛を受けている。率直に言って、Appleの次期CEOとして、同氏以外の人選は考えられなかった。Cook氏は2004年と2009年と2011年の3回、実際にAppleを経営した。同氏はAppleのサプライチェーンを管理し、そのサプライチェーンは今や同社の最高の資産となるまでに至っている。
しかしいまだにはっきりしないのは、Appleの製品が本当の意味でCook氏の製品になるのはいつなのかということだ。Jobs氏ではなくCook氏の製品が前面に出てくるのは、いつになるのだろうか。AppleのロードマップがCook氏の人格を反映するのは、いつのことになるのだろうか。
Appleの現在の経営陣は強力なため、製品設計およびロードマップに影響力を持つ人物は複数名いる。しかし、やがてはCook氏が将来のApple製品の成否を左右するようになる。Cook氏は従業員あての書簡(Ars Technicaが投稿)で、Appleの基本理念は変わらないと述べた。Jobs氏が生み出した独特の文化は今後も存続する。「わたしはAppleの独特の主義と価値を尊重し称賛している。Steveは、世界中のどこにもない企業と文化を築き上げ、われわれはそれに忠実であり続ける。それはわれわれのDNAに植え付けられている」(Cook氏)
Cook氏の時代は約5年後に訪れる、というのが一般的な見方だ。そのころには、Cook氏をもっと簡単に評価できるようになっているだろう。
Appleに関するJobs氏のビジョンと関連製品のロードマップは約5年間、あるいはそれ以上存続するだろう、とアナリストは話す。Piper JaffrayのアナリストであるGene Munster氏は次のように述べた。
Tim Cook氏は、Appleの既存製品の新しいバージョンや、早ければ2012年後半に登場する「Apple Television」のような新カテゴリなど、同氏とJobs氏が共同で築き上げた長期的(5年間)ロードマップを遂行するとわれわれは考えている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス