しかし、歓迎している人ばかりではない。写真と動画の共有サイトSmugMugの最高経営責任者(CEO)であるDon MacAskill氏は、この動きを嘆いている。MacAskill氏は「結論を言えば、ウェブに動画を組み込むのに今までよりずっと費用がかかるようになるし、ユーザーエクスペリエンスはずっと悪くなる。得をするのはAdobeだけだ」とツイートしている。「WebMはぜひとも活用したい。しかし、ハードウェアが普及するには時間がかかる。つまり、ウェブに動画を組み込む一番安価な方法として、Flashを使うことになる。以前はFlashの代替システムでHTML5に対応できたのだが」(MacAskill氏)
H.264はAVCとも呼ばれ、ビデオカメラやBlu-rayプレーヤーなど多くのデバイスでサポートされているが、使用するにはMPEG LAという団体に莫大なロイヤリティーライセンス料を支払わなければならない。MPEG LAは、Microsoft、LG Electronics、パナソニック、Philips Electronics、サムスン、シャープ、ソニー、東芝などの特許権者に代わって、膨大な数の動画関連特許のライセンス管理を行っている。
MPEG LAは、無料でストリーミングされる動画に対しては、H.264を永久に無料で使用できるようにしているものの、H.264を製品で使用する企業にとっては、ほかに特許ライセンスの壁が存在する。例えばMozillaは、Firefoxのプロプライエタリフォークを作成しない限り、FirefoxにH.264を搭載して出荷することは認められないだろうが、それはともかくとして、H.264のライセンス供与を受けるには500万ドルを支払う必要があるだろう。またMicrosoftは、同社がMPEG LAから受け取った額よりも、ビルトインH.264搭載の「Windows 7」を出荷するために支払うロイヤリティーライセンス料の方が高いと語っている。
一方、Googleが2010年5月に公開したWebMは、オープンソースでロイヤリティーフリーの規格になっている。WebMがベースとしているのは、ビデオコーデックの「VP8」とオーディオコーデックの「Vorbis」だ。VP8はGoogleが1億2460万ドルで買収したOn2 Technologiesから手に入れている。
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