壊れていないところを直そうというGoogleの決断は、検索の未来やインターネットの使用方法への大胆な賭けだ。
Googleが米国時間9月8日に発表した「Google Instant」は根本的な変更である。同社はユーザーに、検索は「結果」ではなく、検索語に絶えず磨きをかける「プロセス」だと考えさせようとしている。そのプロセスでは、実際に「検索する」こと、つまり具体的な結果を表示するためにボタンを押すことはしない。
Googleが主張しているのは、ほぼ一瞬でコミュニケーションが行われる世界において、そうした検索は、TwitterなどのリアルタイムWebサービスが最新情報をはき出すのと同じくらいの速さになるということだ。最初は多少混乱がある。困惑するユーザーも間違いなくいるだろうし、SEOに携わる人も少し不安になるだろう。
しかし、ユーザーに好評であれば、Google Instantは競合企業が数週間や数カ月間でまねるのは難しいような検索イノベーションということになり、インターネット検索の新時代へ向かう上で、Googleの確かな強みとなる。
なぜ手間をかけて同じようなものを作り直すのかと疑問に思う人もいるかもしれない。なにしろGoogleは、現在採用している検索結果へのアプローチで、検索市場を何年も支配しているからだ。同社の競合企業は共通の敵に対抗しようと協力し合ってはいるものの、「google」は今でも「検索する」という意味の動詞として使われている。
Microsoftと米Yahooは、Googleを油断させないでいるという点では称賛に値するが、2社が起こしたイノベーションのほとんどはフロントエンド、つまり検索結果の表示方法についてのものだ。Google Instantでは、フロントエンドのユーザーインターフェースデザインと、入力中に検索語候補の結果を処理するのに必要なバックエンドの動作が組み合わされている。
現在Microsoftと米Yahooは、検索テクノロジプロセスのバックエンドについての取り組みに追われている。この2社は、Google Instantを動かすバックエンドの動作を再現するために、必要な時間と予算を投資できるだろうか。どちらかがこのようなブレークスルーを先に起こしていたら、Googleは強い危機感を抱いていたかもしれない。
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