GoogleがSun Microsystemsにライセンス料を支払わずに、「Android」でJavaテクノロジの一部を使用することを明らかにしたとき、Sunの幹部陣はかなりの不満を感じていた。しかし、その不満が訴訟に発展するには、Oracleの冷徹な計算と強大な資金力が必要だった。
Oracleは米国時間8月12日、AndroidにおけるJavaの使用に関して、Googleを特許権と著作権の侵害で提訴した。これにより、巨大企業同士が大金を投じ、おそらくは長い時間をかけて衝突する舞台の準備が整った。Oracleは声明の中で「GoogleはAndroidの開発過程で、Oracleが保有するJava関連の知的財産を故意に、直接的に、そして繰り返し侵害した」と述べている。
Androidの成功は最近のことだが、そのソフトウェアコンポーネントは最近のものではない。Googleは2007年にAndroidを発表し、2008年にAndroidプロジェクトソースコードをリリースしている。GoogleによるJavaテクノロジの使用が、Sunを迂回して、Javaを監督するJava Community Processを回避し、モバイル版Javaのライセンス料(ある情報筋が米CNETに述べたところによると、Sunが受け取るライセンス料は年間10億ドルを超えていたという)を一銭も支払わないという形だったことに、Sunは2007年の時点で反対を表明していた。だが、Androidが登場したころ、Sunに訴訟を起こすほどの体力はなかった。
それにしても、買収は企業の方針に大きな変化をもたらすものだ。
「特許侵害訴訟を起こすという発想は、SunのDNAにはなかった」。Javaの主要なクリエーターであるJames Gosling氏は自身のブログにこう記している。しかし、過去にOracleの最高経営責任者(CEO)であるLarry Ellison氏のことを「悪魔のようなLarry(Larry, Prince of Darkness)」と呼び、Sun買収の直後にOracleを去って独立したGosling氏は、OracleのDNAについても精査している。「SunとOracleの統合に関する会議で、われわれがSunとGoogleの特許をめぐる状況について厳しい質問を受けていたとき、Oracleの弁護士が目を輝かせているのが分かった」(Gosling氏)
とはいえ、Sunが自社の選択肢を慎重に検討しなかったわけではない。
Googleは一部のJavaテクノロジを独自に再実装して、本質的にプログラマーがJavaを使ってプログラムを記述することを可能にし、「Dalvik」と呼ばれる重要な仮想マシンコンポーネントを追加した。Dalvikは、プログラマーがJavaを使って書いたプログラムを、実際にAndroid搭載デバイス上で実行されるコードに変換するものだ。コンピューティング業界において、テクノロジのクローニングは何十年も前から存在する手法だ。それは、法的なリスクを最小限に抑えるために、エンジニアが独力でテクノロジの機能を再現するという「クリーンルーム」的なアプローチに依存することが多い。
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