紙とデジタルを対抗軸とはとらえない--電子書籍4社連合、各社の姿勢は - (page 2)

プラットフォーム構築では出版社への配慮も

 凸版印刷の前田氏は、「我々は印刷を通じて、日本における出版文化発展の一翼を担ってきた。出版文化の発展と継承に寄与する役割は、電子出版においても変わらない」としたうえで、デジタル関連事業への取り組みに意欲を示した。

 現状については、「ここ数年、出版業界は縮小を続け大変厳しい状況にある。そこへ電子出版という大きな波が押し寄せてきた」と説明。今後については、「リアルな出版物の印刷と電子書籍配信の連動に向けた新たな製造ラインの構築を図り、リアルな出版物の活性化と新たな電子書籍の販路を整備する」とし、紙とデジタルの両面で出版社を支援すると述べた。

 7月に設立予定の事業企画会社については、代表取締役を派遣することを明らかにした。プラットフォームの構築を進めるに際しては、日本電子書籍出版社協会(電書協/EBPAJ、31社会)を中心とした出版社の意向を尊重すると発言し、重要取引先である出版社への配慮を示した。

auも対応端末を投入

 KDDIの高橋氏は、冒頭で「事業企画会社へ積極的に参加する」と宣言。「これまでも音楽や映像など、コンテンツの充実に注力してきた。電子書籍も2003年にサービスを開始し、携帯初の書籍ポータル設置、対応端末biblioの発売など、積極的に取り組んできた経緯がある」と、実績をアピールした。

 今後の市場動向については、「スマートフォンや専用端末など、多種多様な電子書籍リーダーが世に出てくるだろう」としたうえで、市場が拡大するとの考えを示した。

 事業企画会社が担う電子書籍プラットフォームに関しては、「出版社や新聞社が安心してデジタルコンテンツを提供できる環境をつくりたい、それが4社が集うことにより可能になった。関係各社とともに、電子書籍市場の健全な発展を目指したい。4社にとどまらず、他社もオープンな環境に集うことを歓迎したい」と説明した。

 KDDIとしての立場では、「スマートフォンを積極的に展開したい。専用端末の開発にも取り組む。事業企画会社の配信プラットフォームの発展にあわせて、対応する端末の投入を進めていく」と対応端末の投入を明言した。

出版文化との関係と経験を生かしたチャレンジを

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