ソニーはいつからか、家電業界のChicago Cubsとでもいうべき存在になった。つまり、才能ある選手をそろえながら、ワールドシリーズにつながらない道を歩んでしまうチームという意味でだ。
20年前であればもちろん、そのように例える人はほとんどいなかっただろう。しかしその後、数多くの期待はずれが続いた。世界的に見れば、かつて携帯音楽プレーヤーの王者だった「WALKMAN」は、「iPod」にその座を明け渡した。「Reader」は、Amazonの電子書籍端末「Kindle」より前に登場したが、すぐにKindleに追い越された。同社の大ヒットゲーム機「PlayStation 2」の後継機種である「PlayStation 3(PS3)」は、発売当初から振るわなかった。PS3が最初に出荷されたのは2006年終盤だが、その売り上げは2009年9月まで、Microsoftの「Xbox 360」にも任天堂の「Wii」にも勝てなかった。果てはテレビ市場でも、サムスンにお株を奪われつつある。
ガジェット市場での影響力が衰え始めてから数年がたった今、ソニーはかつての優位を取り戻すきっかけとなる可能性を秘めた新しいデバイスを携えて勝負に出ようとしている、という報道が現れてきた。ソニーは、一部のPlayStationゲームをプレイできるスマートフォン(待望の「プレイステーション・ポータブル(PSP)携帯電話」かもしれない)と、間もなく立ち上げ予定の、ゲーム、映画、テレビ番組を販売するオンラインメディアプラットフォームに接続できるタブレット型デバイスの両方を準備しているようだ。
飽き飽きしたソニーファンは、今のところほとんどよろこんでいない。「とても良いものかもしれないし、そうでないかもしれない。失敗する運命の独自規格と閉じられたプラットフォームがまた1つ新たに発表されるのを、とても楽しみに待っている(ソニーよ、1度でいいから、わたしが間違っていると証明してほしい)」。Gizmodoで「AreWeThereYet?」と名乗る読者はこうコメントしている。また別の「R.O.A.C.H.」と名乗る読者は、「この基本的なアイデアはいいと思う。問題は、おそらく『iPhone』に輪をかけて閉鎖的なものになるだろうということだ」と書いている。
Sony Insiderブログの編集者Christopher McManus氏はメールインタビューの中で、近年ソニーが出だしで失敗するケースが相次いでいることにファンがうんざりしているのには十分な理由があると語った。ソニーが独自規格を採用し、本当の意味での統合ガジェット(つまりソニーが自由に使える豊富なコンテンツとテクノロジを活用するデバイス)を生み出せなかったことに、熱烈なファンたちは長い間いらだってきた。
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