「IE6」はMicrosoftが1990年代のブラウザ戦争に勝利した2001年にリリースされたものだが、現在もまだ幅広く使用されている。新しいウェブ技術を使いたいウェブ開発者たちは、これをひどく嫌っており、Microsoftは、1年前に「IE8」をリリースしたにもかかわらず、いまだにブラウザ開発競争で遅れを取っているという評判を受けている。Mozilla Foundationの「Firefox」は現在、ブラウザ利用の4分の1近くを占めている。突然現れたGoogleの「Google Chrome」は、今では第3位につけている。一方IEは利用シェアを徐々に失い続けている。
だが、MicrosoftはIE9で、HTML5やCSS3といった新しい標準から生まれようとしているウェブに向けて、ブラウザを再構築しようとしている(HTML5はウェブページを記述するためのHTMLのアップデートで、CSS3はフォーマットのためのCSSのアップデートだ)。
IE9は、ブラウザに関するMicrosoftの最大のライバルの注意をも引きつけた。Firefoxの開発元Mozillaのエンジニアリング担当バイスプレジデントMike Shaver氏は、あるツイートで「IE9は素晴らしい。非常に喜ばしいことだ。IEチームに賛辞を送りたい」と言っている。
Hachamovitch氏はインタビューの中で次のように語った。「HTML5は新しい種類のアプリケーションを可能にするとわれわれは考えている。こうしたアプリケーションは、現在のウェブサイトにはない形で、ブラウザのランタイムに負担をかけるだろう。HTML5に適切に対応するということは、特定の機能チェックリストを作るというよりも、新しいアプリケーションで必要になることについてブラウザサブシステムのすべてを設計することだ、とすぐに気が付いた。つまり、アプリケーションがどこに向かっているかを理解し、そこに到達させるためのプラットフォームを構築することだ」
MicrosoftはIE8で、既存の標準に従うことを優先した。憤慨したウェブ開発者が言うところの「標準だって?IEが標準だ」といった以前の態度から大きく変わった。IE9では、標準主義を将来に向けて進めている。
Microsoftは、HTML5やScalable Vector Graphics(SVG)の発展に新たに従事することにより、同社のウェブ標準への関心が高まっていることを示している。SVG標準には、ロゴなどのグラフィックスの描画を改善する可能性があるが、同社は長年避けてきた。IE9は、こうした標準を実際の製品として実現するものだ。
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