しかしiPhone戦略の転換には、2009年内に起こる可能性があるものが1つある。おそらく、それは、予期されている次世代携帯電話端末と「iPhone 3.0」ソフトウェアの出荷態勢が整うころになるだろう。この戦略転換は、2008年10月に最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏が最初にほのめかしていた。
Cook氏は2009年4月22日、iPhoneの価格設定に関するJobs氏のコメントを繰り返して、「われわれは、人々に対して『価格の傘』を残さないようにしている」と述べた。「価格の傘」とは、支配的な企業が、人気はあるが高価な製品によって特定市場に与え得る効果を表すのに使う用語だ。競合企業は、別の低価格の製品で市場に参入し、値頃感だけをベースに顧客を獲得することができる。これによって、競合企業は、製品を改善するための時間や利益を得ることになる。
これは、199ドルのiPhoneが価格の傘を生みだす、という考えをAppleが持っていることを示す、過去6カ月で2回目のシグナルとなる。この価格の傘により競合企業は、事業を運営し、Appleの市場シェア獲得能力を制限する余地を得ることになる。Macの事業とは違って、AppleはiPhoneの市場シェアを非常に気にしている。RIMの共同CEOであるJim Balsillie氏が述べているように、モバイルコンピューティング業界は、いまだにその初期の「土地の争奪」状態にあるのだ。
そのため、より価格が低いiPhoneを発売することの必要性というのが、Appleの考え方に過去6カ月に生じた1つの変化かもしれない。2009年夏に発売予定の「Palm Pre」の価格が未発表で、かつBlackBerryの販売数が伸び続ける中、Appleは3年目に向けてiPhoneを維持していくために、何かが必要になるだろう。Cook氏は以前、Appleが価格を下げるたびにiPhoneの販売数は増加してきたと述べている。
第2四半期は、Appleにとって大きな四半期だった。Appleは、「iPod」部門と小売グループの力でライバル企業をゆさぶり、ホリデーシーズンを難なく滑り抜けたようだが、その力が続くのかは全く分からなかった。しかし、過去3カ月にMacとApple Storeがともに打撃を受けたものの、テクノロジ業界の歴史上で最悪の不況のさなか、Appleはテクノロジ業界で最も素晴らしい数字を出し続けている。
壊れていないものを修理してはいけない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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