iPhoneアプリの1年--開発者から見たApp Storeの功罪 - (page 4)

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:川村インターナショナル、編集部2009年03月11日 07時30分

これまでと今後のアプリケーション

 では、開発者とユーザーの両方のために、AppleはApp StoreとiPhoneアプリケーションのエクスペリエンスのどの部分を改善できるだろうか。開発者の4つの希望を挙げてみよう。

  • デモアプリケーション:現在のところ、iPhoneやiPod touchのユーザーに自分のアプリケーションを試してもらいたいと考える開発者は、そのアプリケーションの無料の「ライト」版を開発する傾向にある。ライト版では使用期間もしくは機能が限られている。開発者にとっては、すべてのオプション機能が付いていて、しばらくは無料で使えるが、特定の時点を越えると料金を支払った場合にのみ使用できる、ダウンロード可能なゲームのようなものの方が好ましいだろう。
  • アプリケーション用の「Genius」:これを思いついたPinch MediaのGreg Yardley氏によると、「すぐに見つけられるようにすることがApp Storeの最大の課題」だという。Yardley氏はiPhoneの開発者へのアドバイスを行っており、開発者がAppleに望んでいるのは、アプリケーション版のGeniusのような機能を導入することだとしている。Geniusは、ユーザーのミュージックライブラリを基にしてユーザーが気に入ると思われる曲を提案する機能だ。「Appleがこれから直面する最大の課題の1つは、320×480(ピクセル)の画面に(無数のアプリケーションを)表示させる最善の方法を見つけ出すことだ」(Yardley氏)
  • 宣伝機会の強化:EA MobileのBoatman氏は、Appleがメイン「iTunes Store」ホームページでiPhoneアプリケーションをもっと積極的に宣伝し始めることを望んでいる。新しくリリースされた音楽と映画はホームページの上部に掲載される傾向にあるが、有料アプリケーションと無料アプリケーションのトップ10はそのページのかなり下の右側に表示される。「書店のBorderに入っていく人を観察するのと少し似ている。(新書を探すとき)本の背を次々と見ながら本棚に沿って歩くことから始めはしない」と同氏は述べる。
  • 真のレビューシステム:私の同僚であるJosh Lowensohnは先日、この件について触れている。現在、App Storeのレビューは整理されていない状態にある。これは、iTunes Storeの別部分から持ってきた楽曲レビューシステムが、ソフトウェア用にそれほど適していないという事実に一部基づいている。コメントに返答するための権限やより良い分類のためのオプションがあれば、開発者は質の高い製品の作成で報酬を得る機会が増え、ユーザーは自分に適したアプリケーションを見つける機会が増える。

 iPhoneとiPod touchのアプリケーションは、Appleとその顧客がそれらのデバイスをどのように認識するかについての考え方を変えた。iPhoneとiPod touchは、単なる電話や音楽プレーヤーではなく、突然ゲームコンソールや医療診断ツールになる。それでもAppleは、次の10年の収益源と成り得る製品に関する決定に、慎重な姿勢を取っている。

 Hockenberry氏は「Appleはすべての決定が長期的な影響を及ぼすことを自覚していて、急いで決定を下さない」と述べている。Research in Motion(RIM)、Google、Microsoft、Palm、Symbianなどの競争相手が独自のモバイルアプリケーションプラットフォームで開発者を獲得しようと準備を進める中、Appleとそのパートナーによって築かれた確固たる基盤は、iPhoneの人気が続く限り、そのアプリケーションが発展することを確実にするはずだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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