最終組立作業までを製造パートナーに委ねると、受注が見込めるシステム構成をDellが予測しなければならなくなり、適正量以上の在庫を抱えることになると同氏は指摘する。
そのため、Dellは、ノートPCを購入者に届けるまでに、ある程度組み立てられたノートPCを自社の組立工場に送り、サプライヤーの倉庫から主要部品を取り寄せ、ノートPCを組み立てた後に、顧客の元へ発送する、という過程を踏む。この変則的な方法は、Dellのように以前から低コストを維持してきたメーカーにとって製造コストをある程度引き上げる要因になる、とNeland氏は認める。
「増えたコスト分は、カスタマイズされた製品を購入者に提供するという仕組みによって回収できると私たちは信じている。Dellは売り上げの大部分を企業顧客に依存しているが、それぞれの顧客のシステム構成に対する要望は、非常に細かい」(Neland氏)
Current AnalysisのアナリストSamir Bhavnani氏は次のように分析する。「Dellのやり方が長年うまくいってきたのは、その規模と積極的なコスト管理による。しかし、競合他社も追いついてきている。HPはPCビジネスの運用コスト削減において大きく進歩した。LenovoやAcerといった企業も同様の成果を上げている」
しかし、Dellの直販モデル信仰が続く限り、同社がこれまでと同様のやり方でノートPC製造工場を運営する可能性は高い、とアナリストたちは予想する。Dellの製品グループシニアバイスプレジデントのJeff Clarke氏が、最近夕食会の席で次のように語った。「今年、新しい戦略『Dell 2.0』をきっかけにこれまでの信念を反省し見直す動きがあったが、最終的には、直販モデルを手放すことは『ありえない』だという結論に達した」
Dellが直販路線を貫くことは賢明だと捉えるアナリストもいる。IDCは、米国や西ヨーロッパなどの先進諸国では、2008年にはノートPCの出荷がデスクトップの出荷を上回ると予測している。今後ノートPC市場がさらに成長していけば、製造パートナー企業に縛られがちになる競合他社よりもDellの方が有利かもしれない、とIDCのShim氏は見ている。
「市場におけるモバイルへの移行がさらに進むと、ハードルはもっと高くなる。そこで勝負を分けるのは製品やサービスの独自性だ。コストではない」(Shim氏)
Shim氏の予想が正しければ、競合他社が気付いたころには、まねのできないDell独自の戦略が確立されているはずだ。
そう、かつてのように。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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