富永康信(ロビンソン)
2006/10/13 11:00
新生ライブドアではこれまでのビジネス戦略を方針転換し、新たにCGM(Consumer Generated Media)を利用したビジネスモデル構築と、新世代ブログサービスの開始を宣言した。今後、同社の最大の強みであるブログサービスを進化させることで、収益の基軸をWeb2.0的サービスの連携・拡大に求めていく考えだ。
はじめに、執行役員社長室長でコーポレート戦略担当を務める伊地知氏が登壇し、ライブドアが開始したCGM戦略の背景として、今年7月から同社のWebページを大幅にリニューアルしたことを報告した。
「このリニューアルは、この度の一連の事件と因果関係はない。“ヤフーを目指せ”というこれまでの戦略を見直し、(会員数やアクセス数が)日本最大の自社のブログサービスを中心に、今後はCGM関連のサービスを強化して収益を上げていく」と伊地知氏は語る。
今年1月から、事件の影響により広告出稿がほぼゼロという苦しい状況が続いたという同社。現在はおおむね回復し、ナショナルクライアント(大手顧客)も戻りつつある今、事業を大幅に方向転換して、ブログやSNSをはじめとしたユーザー投稿型サービスで広告ビジネスを開発していく考えを示した。
同社では現在、ブログサービス「livedoor ブログ」は会員数約155万人を擁して日本最大を自負している。また、SNSの「livedoor フレパ」もユーザー数約90万人をかかえ、mixiの圧倒的優位は変わらずとも、それに次ぐ規模だという。特にSNS分野では、企業がコンシューマユーザーとの接点に利用し、販売促進につなげようとする活動が活発になっており、その伸びは目覚しいという。
また、その他のサービスとして、「livedoor Wiki」、掲示板の「したらば」、ソーシャルブックマークの「livedoor クリップ」、写真共有の「livedoor PICS」、Q&Aの「livedoor ナレッジ」などを用意し、これらCGM系サービスがライブドア全体のトラフィックの7割近くを占める。
「CGMを利用したビジネスは、世界的にもそれほどは確立していない」と語る伊地知氏は、グーグルがアドワーズを発明したことによって、それまで収益がなかった検索サービスから大きな利益が得られるようになったように、CGMにおいても新たなビジネスモデルの発明が必要となっているという。
そこで同氏は4つのパターンを示した。1つ目は広告型ビジネスモデル。アドセンスのようなコンテンツにマッチングした広告やCGM自体の検索結果にキーワードに連動した広告を表示するタイプのものである。2つ目が販促型。その代表的なものが、アマゾンで効果を上げたアフィリエイトやユーザーレビューだ。3つ目はエスクロー型。CGMを発信する人と、それを探している人の情報をマッチングし、トランザクションに関する課金決済で手数料を得るビジネス。そして、4つ目は、データベース型。CGMをデータベース化し、ユーザー行動のログを集めてサービスとして提供し、直接的・間接的に収益を得るビジネスだ。
また、それをビジネスに変えるために必要な手法や技術も存在するという。中でも「タグ」は同社が積極的に取り組むことの一つ。ユーザーが投稿する際、意味付けの“札”があることで、情報解析の負荷が大幅に軽減し、ブログや写真、Q&Aなどから情報を見つけやすくなる環境ができるという。
そして「APIの公開」。ライフドアの認証部分を外部にAPIで公開することで、600万人のライブドア利用者全てを、新サービスへ誘引できる可能性を持つという。その他にも、「インターフェイスのリッチ化」や「RSSフィード」の利用、「ターゲティング」によるセグメント広告配信の実施、そしてCGMが信頼性できるかどうかレイティングをする「プロフィール」などが示された。
さらに、これらを実現する技術としては、日本語の構文解析やブログ全体の意味を把握する「検索技術」、ユーザーデータベースをマイニングし、興味の分野を解析して広告を表示する「強調フィルタリング」、「Ajax」や「ログ解析」などの技術導入も必要となるとした。
「CGMでは、効果測定ができないとクライアントは金を支払わない」とする伊地知氏は、「どんなビジネスでも測定方法は確率されており、広告出稿企業はその測定結果に基づき次の出稿計画を検討する。しかし、クチコミ効果は認められつつも、明確かつ定量的な測定方法が確立していなかった。今後はクチコミの経路と効果測定の方法が技術的課題となる」と指摘する。そのため、ライブドアの基本戦略は、会員数の多いブログを中心に、各種のCGM系サービスをブログユーザーと連携し、メディアビジネスを展開する方法をとるという。
そして同氏は、今後CGMを使ったメディアとして国内NO.1企業を目指すとし、「国産ポータルとして培った技術優位性やノウハウをさらに追求し、事件発覚以前から手がけてきた高齢者や障害者がネットの恩恵を享受できるサービスを提供していきたい」と語った。
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