Microsoftは、自社タブレット/スレートのポジショニングについて、複雑な対策を講じている。
Microsoftはこれまで、「iPad」はPCではないと主張してきた。こう主張する理由は、想像に難くない。iPadをPCとみなした場合、Appleが第2位のPCベンダーになるだろうからだ。
では、「Windows 7」が動くスレート/タブレットはPCなのか?Microsoftがウェブで展開しているマーケティングキャンペーンからわかるように、同社は都合よくその境界を変えている。このキャンペーンは新しいものではない。Microsoftは2011年1月のConsumer Electronics Show(CES)の後、Windows Blogでこれを紹介している。だが、この例はMicrosoftがタブレット/スレート分野で抱えるジレンマを露呈している。
キャンペーンのバナー広告には「PCらしくないPCの紹介:ASUS Eee Slate」とある。「Windows 7を搭載したASUS Slateは、あなたの望むパワー、速度、生産性を備えている。そして、スタンドから外すと魅力的なタッチ画面のスレートとなり、無限の可能性を提供する」と続いている。
広告では、小さな子どもが999ドル以上する端末を手にとり、スタイラスを使って直感的に絵を描いている(同じような動画を以前にもどこかで見たような気がする)。
より長いマーケティング文句からは、Microsoftがスレート戦略におけるマーケティングをあの手この手で切り抜けようとしていることがより明確に伝わってくる。Windows 7タブレット/スレートはPCなのか?PCではないのか?スタンドとキーボードを持つ最新のASUS Eee Slateのような端末では、両方の議論が可能だ。
Microsoftの幹部は2010年、タブレット対スレート対PCのレトリックに関する混乱を何とか収拾した。Windows 7が動くタブレット/スレート対「Windows Embedded Compact 7」が動くタブレット/スレートを区別するため、MicrsoftはWindows Embedded Compactベースのスレートはコンテンツの消費向けで、Windowsベースのスレートはコンテンツの消費と作成の両方に適していると述べたのだ。
Appleが先週に示したように、iPad、特に「iPad 2」はコンテンツの消費と作成の両方が可能だ。だが、だからといって、PCは終わりでポストPC時代を迎えつつあるとはわたしは思わない。あるブロガーも先日書いているが、PC/MacがiPadの時代でも必要なツールであり続ける限り、ポストPC時代になったとは言い切れないのではないか。
タブレット関連のうわさを明らかにするのと平行して、Microsoftがタブレットを2012年以降に「延期」するという報道が何件か出ている。しかし、Windowsベースのタブレットとスレートはすでに登場しており、Windows 7とWindows Embedded Compact 6.Xが動いている。Microsoftは、「Windows 8」をOEMメーカーにリリースする時期をまだ明言していない(さらに正確に言うなら、実はMicrosoftはWindowsの次期版に言及する際、公式には「Windows 8」という言葉を用いていない)。しかし、2012年にWindows 8がRTMになり、タブレット/スレートメーカーがWindows 8ベースのスレートを同年の年末商戦に向けて製造できれば、わたしの判断では「予定通り」といえる。
再度、感想を入れて繰り返すが、Windows 7ベースのスレートは、タッチ機能があったとしてもタッチ主導ではない。また、Appleの「App Store」に匹敵するサービスも提供されていない。共通の特徴として、重たく、価格も高価で、かなり扱いにくい。クリーニング用のクロスが付いたカラフルな保護用カバーもない。これら全てが、MicrosoftがWindowsスレート対iPadにおけるマーケティングの方法につながっている。Microsoftは、Windows 7ベースのスレート/タブレットを主として法人向けのデバイスとして販売することに注力している(Eeeスレートキャンペーンがわかりにくい理由も、ここにあるとわたしは思う。1000ドルのPCを潜在的にiPadと匹敵するものとしてポジショニングしているからだ)。
タブレット/スレートとPCとはかなり違うものだとわたしは考える。タブレット/スレートは、単にPCがiPadのようなケースに入ったものではないはずだ。それとも、タブレット/スレートは、新しいPCのフォームファクタに過ぎないのだろうか?
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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