ブログ市場の興隆とともに、ブログに特化した検索サービスへの注目が集まっている。ウェブサイト検索との違いや、ブログ検索ならではの可能性について、11月18日に東京都内で開催された「CNET Japan Innovation Conference(CJIC)2005 Autumn 次世代ウェブの検索サービスを探る」のパネルディスカッションで議論がなされた。
パネリストには、アスク ジーブス ジャパン取締役COOの樋口将嘉氏、NTTレゾナントポータル事業本部技術マーケティング部担当部長の内山匡氏、テクノラティジャパンテクニカルマネージャーの佐藤匡彦氏、ライブドアネットメディア事業本部ネットメディア事業部サーチグループの西田光良氏の4名が登場。モデレーターはCNET Japanにブログ「情報化社会の航海図」を連載している渡辺聡氏が務めた。
まず、ユーザーはサイト検索とブログ検索をどう使い分けているのか。ライブドアの西田氏によれば、「ブログ検索のユーザーはその時の旬の情報を探しているようだ」という。しかも、ライブドアのサイト検索とブログ検索はページビューの数がほぼ同じであるのに対して、ユニークユーザー数は圧倒的にブログ検索が少ないという。「ブログ検索は“濃い”ユーザーが多く、一度利用すると居つく人が多い」(西田氏)
また、アスク ジーブスの樋口氏は「サイト検索とブログ検索の行き来をする人が多い。基本情報はサイト検索で探し、そこで見つけにくいものをブログ検索で探すようだ」と指摘する。ブログに特化した検索サービスを提供しているテクノラティの佐藤氏は「新聞やテレビなどのニュースで取り上げられた単語の検索が多い。ネタ探しに使っている人が多いのではないか」としたうえで、検索結果をブログに書くなど、ブログと合わせた利用が多いと話した。
ブログ検索は他のサービスとの相性がよく、相互補完関係にあるというのがパネリストの一致した見方だ。NTTレゾナントの内山氏はブログ検索をニュースやエンターテインメントコンテンツと連携させることで、サイト内の回遊率を高めたいと話す。
ブログ検索の収益モデルについては、複数の可能性が紹介された。たとえばNTTレゾナントでは検索連動型広告のほか、RSSリーダーと組み合わせて事業にするという。このほか、検索エンジンをNTTグループなど他社に提供する考えもあるようだ。ライブドアも検索連動型広告や検索エンジンの提供によって収益を上げることを狙っている。
集めたブログデータを加工して収益源にする方法もある。テクノラティはブログに書かれた商品に対する情報を加工してECサイトに提供する「口コミ配信事業」や、ブログでその商品がどのような評判になっているかをまとめて企業に提供するリサーチ事業を検討している。ライブドアもリサーチ事業については検討しているといい、ブログ検索自体がコンテンツになるという考えを示した。
今後の展開については、既存のサイト検索やブログサービスなどとの連携を強めていくというのが一致した方向性だ。アスク ジーブスの場合、1つの検索ボックスに検索ワードを入れればサイト検索やブログ検索など複数の検索サービスからの検索結果を表示するようにしている。ただし、「1〜2語の検索ワードでユーザーが求める答えをいかに的確に表示させるかが鍵になる」と課題もあるようだ。
gooは、例えば商品を検索したときに、同じ画面にブログに掲載された口コミ情報などをユーザーの生の声として表示していきたいと話す。
これに対し、テクノラティは自動車などジャンルを特定した専門サイトに対して、検索機能を提供する方針だ。テクノラティではタグ機能によってブログのカテゴリ単位で検索できるほか、複数のブログをカテゴリ化して特定のカテゴリの中からだけ情報を検索する「Blog Finder」というサービスも提供している。これを生かして、膨大なブログの情報を整理して顧客に届けたいとした。
また、テクノラティの親会社であるデジタルガレージがぴあ、カカクコムと共同で設立した「株式会社Web 2.0(仮称)」(ウェブツーポイントオー)では、テクノラティの技術にぴあやカカクコムのコンテンツを合わせたポータルサイト「PingKing(仮称)」を構築する。「エンタテインメントカテゴリの情報ポータルを作りたい」(佐藤氏)
ライブドアは増え続ける情報量に対応するため、検索結果をパーソナライズ化することに力を入れる。将来的には、ユーザーの書いているブログの内容をもとに個人の好みを割り出して検索結果を変えるなど、ポータルの強みを生かしたサービスを検討していくと話した。
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