検索サービスは新たな市場を生み出している。その最たるものが、検索結果に応じた広告を表示させる検索連動型広告だ。11月18日に開催された「CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn 次世代ウェブの検索サービスを探る」では、オーバーチュア取締役サーチマーケティング戦略本部長の泉浩人氏が検索連動型広告の強みについて語った。
泉氏はまず、既存のマス広告と比べた検索連動型広告の優位性について述べた。街の看板広告のようなマス広告の場合、誰が潜在顧客なのかはわかりにくく、資本のある企業ほど大規模に広告を展開できるため有利だった。
これに対し、検索連動型広告は潜在顧客だけに狙いを定めて広告を表示できる。なぜなら、検索するということはその単語に対して興味があるということだからだ。「『私はこういうものに興味があります』というプラカードを持って街を歩いているようなものだ」
最も検索されているキーワードをランキングにすると、「2ちゃんねる」「Yahoo」「Google」の3つがつねに6位以内にあるという。しかし季節によって順位が変動するものもあり、4月であれば「花見」という単語が11位に、8月であれば「高校野球」という単語が6位に登場する。このように時期によって人々の関心は変わることに注意すれば、新たなマーケティングの方法も見えてくるというのだ。
しかも検索サービスは購買行動に結びつきやすい。オーバーチュアの調査によれば、インターネットで商品やサービスを購入するときに検索サービスを利用すると答えた人は、調査対象の50%以上にのぼるという。特に旅行分野に限れば、86%もの人が検索サービスを利用するとのことだ。「購買行動がオンラインだけではないことも考えると、相当数が購買時に検索サービスを利用するといっていい」(泉氏)
ただし検索連動型広告は広告主から見ると難しいと思う面もあるようだ。その1つが、予算が固定でないことだ。クリック数に応じて広告費が発生するとなると、毎月の費用がどれだけかかるのかは事前にはわからない。
泉氏はこの問題について、「広告費ではなく、販売促進費だと考えて欲しい」と話す。たとえばクレジットカード会社に売上の5%を手数料として支払っている場合、売上予算を100万円、手数料支払予算を5万円と見積もっていたが、実際には売上高が200万円で手数料が10万円になったとしても、予算オーバーだからといって販売をやめることはしない。検索連動型広告の予算も同じだというのだ。
「商店主がオンラインマーケターへと変わっていかなければならない時代が来ている」
オーバーチュアではこういった問題に対処するべく、広告主へのコンサルティング事業を強化している。担当者によるコンサルティングのほか、ノウハウをパッケージ化してマーケティングセミナーも開催するなど、検索連動型広告の周知に努めている。
泉氏は最後に、「検索連動型広告は潜在ニーズの1つ1つを言葉でつなげ、潜在顧客をたぐり寄せることができる」とその利点をあらためてアピールし、講演を締めくくった。
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