個人ユーザーの間で普及が進むブログだが、ブログをビジネスに活用する動きも高まりつつある。6月20日に開催されたCNET Japan Innovation Conference 2005 Summer(CJIC)にてワークショップを開催したシックス・アパート 代表取締役の関信浩氏は、「Blog on Business〜ウェブログ活用ですすむビジネスの効率化」というテーマで、個人ユーザー間で広がるブログをビジネスで活用することのメリットや、具体的なユーザー事例を紹介した。
「ブログ=日記」ではない
関氏はまず、「インターネット白書 2005」(インプレス発行)に掲載されている数字を基に、日本におけるブログの現状を説明した。10〜50代の男女を対象としたアンケートによると、ブログの認知率は72.5%となっており、昨年の39.4%から飛躍的な伸びを見せている。つまり、今では3人に2人がブログを「知っている」ことになる。
ブログのビジネス活用を強調するシックス・アパートの関氏 |
実際に自分でブログを運営しているのは、全体の18.4%だ。ブログの運営率は、10代から20代を中心に女性の方が高い。10代男性のブログ運営率が21.4%(ブログを始めようとしている人は14.3%)であるのに対し、10代女性は25%(同25%)で、20代男性の運営率が19.1%(同8.4%)であるのに対し、20代女性は27.6%(同7.7%)となっている。関氏はこの数字を、「口コミに大きな影響力を持つ若年層の女性が使っている」と分析した。
関氏はまた、2005年5月に総務省より発表されたデータから、「ブログやソーシャルネットワーキングサービスなどの国内利用者がのべ335万人で、アクティブにブログを活用しているユーザーが約95万人、ブログの閲覧者数は1651万人、過去12カ月でのブログ更新数はこれまでの12.3倍に上る」と、具体的な数値を提示し、「ブログ利用者が実数として急増していることが、“ブログ オン ビジネス”を考える上で重要なインフラになるだろう」と結論づけた。
次に関氏が取り上げたのは、「ブログの定義」についてだ。関氏によると「ブログは、簡単に更新できるウェブサイトという点が最も大きな特徴だ」という。ブログの特徴としては、コメントやトラックバック、RSSフィードなどの機能面が強調されがちだが、現在のブログの注目度の高さをひとつの現象としてとらえた場合、誰もが簡単に日々コンテンツを更新できることが利用者にとって最大のメリットであるという考えだ。
しかし、「毎日更新しやすいからと言って、“日記”という観点でのみブログをとらえてしまうのは誤りだ」と関氏は言う。ブログの実際の使われ方は、大きく分けて「メディア配信型」と「コミュニケーション型」が存在するためだ。
メディア配信型は、ジャーナリスト的な発想を持つ個人が、ブログを活用してオンラインのニュースサイトのように、不特定多数に向けてコンテンツを発信するものだ。メディアのような特性を持ちつつ、ブログの双方向性を活用して読者の意見を聞くことも可能だ。この一方で、コミュニケーション型は、個人が親しい知人に向けてコンテンツを発信するコミュニケーションスペース的な利用方法が中心となる。低コストで簡単に始められる上、同じ話題をシェアしたい場合はメールよりも効果的だ。
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