Qualcomm Technologiesは米国時間10月25日、未来のスマートフォンに生成人工知能(AI)を組み込むことに重点を置いた新たなモバイルシステムオンチップ(SoC)「Snapdragon 8 Gen 3」を発表した。
ハワイで開催中の「Snapdragon Summit」で発表されたこの新しいSoCは、「生成AIを念頭に置いて緻密に設計されている」(同社)という。
Snapdragon 8 Gen 3は、前世代の「Snapdragon 8 Gen 2」にさまざまな改良を施している。例えば、「Qualcomm Kryo」CPUのアップグレード(最大3.3GHz)、ベンチマーク指標で30%の性能向上と20%の電力効率向上、Armの「Cortex-X4」テクノロジーの採用、AIエンジンの強化、「Qualcomm Adreno」GPU、「Qualcomm Hexagon」NPU(同社の説明で98%の高速化と40%のパフォーマンス向上)のほか、ゲーミング、写真、AIアプリケーション向けの多くのアップグレードなどだ。
Qualcommは2023年に入って、モバイル向け製品のAI機能を強化している。同社のAIエンジンは現在、マルチモーダル生成AIモデル、大規模言語モデル(LLM)、言語ビジョンモデル(LVM)、「Transformer」ネットワークベースの自動音声認識(ASR)を、100億個以上のパラメーターでサポートしている。
Qualcommによると、LLMは1秒間に最大20トークンで動作するようになり、同社の「Sensing Hub」技術でサポートするバーチャルアシスタントの強化やよりパーソナライズされた応答が可能になるという。
AIで補強されたQualcommの画像処理機能には、自社開発の画像プロセッサー「Spectra」、深度センサーのハードウェアアクセラレーションなどがあるほか、マルチフレームおよびトリプルビデオキャプチャーを含む複数のHDRセンサーをサポートする。Snapdragon 8 Gen 3がサポートする動画撮影時のカメラの台数と画素数は、トリプルカメラで最大36メガピクセル、デュアルカメラで64+36メガピクセル、シングルカメラで最大108メガピクセルとなっている(いずれも30fps、シャッタータイムラグなし)。
さらに、最大200メガピクセルの写真撮影、AIベースの顔認識、「AI for 3A(オートフォーカス、自動露出、自動ホワイトバランス)」をサポートする。動画撮影の画質は8K HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応する。
Qualcommは「Snapdragon Elite Gaming」の機能も強化し、リフレッシュレート240Hzのディスプレイで最大240fps、「Snapdragon Game Super Resolution」による8K外部ディスプレイへのアップスケーリングに対応するほか、強化された「Adreno Frame Motion Engine 2.0」も備える。さらに、Epic Gamesのゲームエンジン「Unreal Engine 5.2」の採用により、ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングと「Lumen」グローバルイルミネーションが導入された。
接続性に関しては、「Snapdragon X75 5G Modem-RF」システムを搭載し、下り最大10Gbps、上り最大3.5Gbpsの5Gに対応する。この5GモデムにはAIエンジンを構成する「Hexagon Tensor」ハードウェアアクセラレーターが内蔵され、通信速度と通信範囲が向上している。
Snapdragon 8 Gen 3を搭載したAndroidデバイスは今後数週間以内に提供が開始される。
Qualcommのプレスリリースこの記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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