クアルコムは現地時間10月24日、TSMCの4nmプロセスを採用したPC向けハイエンドプロセッサ「Snapdragon X Elite」を発表した。スマートフォン向けプロセッサの設計をPCに横展開しつつ、新CPUで性能を高めた点が特徴。搭載製品は2024年半ば頃に登場する見通しだ。
Snapdragon X Eliteの特徴は、新開発のCPU「Oryon」(オライオン)を搭載した点だ。同CPUは、過去にAppleでプロセッサの開発を率いたGerard Williams氏(現クアルコム)を中心に開発された。
OryonのCPU性能が披露されると、発表会場がどよめいた。
クアルコムによると、シングルスレッド性能はAppleの「M2 Max」に比べて約13%高速な一方、ピーク時の消費電力は30%少ない。
さらに、Intelの「Core i9 13980HX」と比べると、シングルスレッド性能はほぼ同等な一方で、消費電力は70%少ないとした。
Snapdragon X Eliteは、このOryion CPUを12コア搭載する。すべて3.8GHz駆動だが、高負荷時は2コアだけ4.3GHzにブーストする。さらに、136GB/sのLPDDR5xメモリを搭載し、合計42MBのキャッシュを備える。
他社製プロセッサとの比較では、Appleの「M2」に比べてマルチスレッド性能で最大50%高速だという。Intelの「Core i7-1360P」「Core i7-1355U」との比較では、CPUが最大で2倍高速な一方、消費電力は最大で68%少ないという。
Snapdragon X Eliteは、CPUやGPU、NPUなどを1チップ化したSoC(システム・オン・チップ)であり、GPUも内蔵している。
そのGPU性能は、インテルのCore i7 13800Hと比べて2倍高速な一方、ピーク時の消費電力は74%削減。AMDの「Ryzen 9 7940H」と比べても80%高速な一方、ピーク時の消費電力は80%少ないという。
また、オンデバイスAIにも注力しており、1秒間に45兆回の演算を実行できるという。
スマートフォン向けの設計を横展開しているために低消費電力な点も特徴。一般的な使用で数日間のバッテリーの持ちを実現するという。また、モデムを内蔵し、5GとWi-Fi 7によるスマートフォン並のインターネット常時接続にも対応する。
発表会では、Oryonが2024年のスマートフォン向けプロセッサに採用されることも明かされた。
同社のスマートフォン向けプロセッサであるSnapdragonシリーズは、大半のAndroidスマートフォンが採用しており、スマートフォンの性能向上も期待される。
(更新)初出時、タイトルで「Apple M2の2倍のピーク性能」としていましたが、正しくは「50%増のピーク性能」でした。訂正しお詫び申し上げます。
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