ASUSの「Zenfone 10」は、実際に高性能で強力な小型スマートフォン、という非常に珍しい製品だ。サムスンの「Galaxy S23 Ultra」やAppleの「iPhone 14 Pro Max」など、ほとんどのハイエンドスマートフォンは、7インチに近いサイズのディスプレイを搭載しており、ポケットに入れるとパンパンになるが、Zenfone 10は5.9インチディスプレイを採用しているため、それらのスマートフォンよりもはるかに快適に片手で使用できる。
スペックも軽視しておらず、強力なQualcommの「Snapdragon 8 Gen 2」プロセッサー、最大16GBのRAM、IP68の防水性能、さらには、3.5mmのヘッドホンジャックまで搭載している。ヘッドホンジャックというものの存在を忘れてしまっている人もいるかもしれないが、ASUSはそうではないようだ。
だが、Zenfone 10を数日間使ってみたところ、小型スマートフォンが大好きな人にとって好ましくない点もあることが分かった。背面のデュアルカメラは貧弱で、30Wの急速充電は、他のスマートフォンですでに採用されている80Wに比べると見劣りする。さらに、ASUSは2世代分の「Android」OSアップデートと4年間のセキュリティアップデートしか提供しない。サムスンとOnePlusが機種によっては4世代分のOSアップデートと5年間のセキュリティアップデートを提供していることを考えると、ASUSのアップデート提供期間は不十分だ。
それでも、819.99ポンド(約15万円)という価格設定を考慮すると、Zenfone 10は、全体的によくできたスマートフォンと言える。よりコンパクトなスマートフォンを切望している場合は、なおさらだ。米国での販売価格はまだ正式には発表されていないが、2022年の699ドル(日本では9万9800円から)の「Zenfone 9」と大体同じ水準になることが予想される。
実際のところ、Zenfone 10に注目すべき最大の理由は、そのコンパクトさだ。筆者は数年前から、米CNETで「最高の小型スマートフォン」ガイドの記事を担当しているが、お勧めできる6インチ以下の選択肢を見つけるのが年々困難になっている。Googleの「Pixel a」シリーズ(以前はかなり小型だった)でさえ、今では6インチを超えている。検討に値する新たな選択肢がついに登場したのは、うれしいことだ。
Zenfone 10は片手で快適に使用できる。ポケットにも入れやすく、他のスマートフォンのようにポケットが膨らんで恥ずかしい思いをすることもない。ディスプレイは明るく、画質も十分にシャープで、ゲームや動画を本来の画質で楽しむことができる。
Zenfone 10の背面は、バイオベース素材を使用したポリカーボネート製で、持ったときの感触も良好だ。筆者は、試用した「Eclipse Red」モデルの鮮やかで目立つ外観が気に入っている。IP68等級の防塵防水性能を備えているので、飲み物をこぼしてしまっても、故障することはないはずだ。ワイヤレスヘッドホンへのアップグレードを未だに拒んでいる人のために、今では非常に珍しくなった3.5mmヘッドホンジャックも備えている。
側面には、トラックパッドのような機能も果たす指紋スキャナーが配置されている。ここで指を上下にスワイプして、ウェブページを移動したり、通知トレイをプルダウンしたりすることが可能だ。これは、楽しい機能であり、役立つこともあるかもしれない。ユーザーがこの機能の存在自体を忘れてしまわなければ、の話だが。
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