NTTグループと東急不動産、広域渋谷圏まちづくりに世界で初めて「IOWN」を先行導入

 NTT、NTTドコモ、東急不動産の3社は6月7日、「IOWN」(Innovative Optical and Wireless Network)構想に関連した技術、サービスなどを活用する新たなまちづくりに向けた協業で合意したと発表した。

 渋谷桜丘エリアに2023年11月竣工予定の大型複合施設「Shibuya Sakura Stage」において、東急不動産所有区画への「APN IOWN1.0」を導入する。オフィスフロアやイベントスペースでAPN IOWN1.0を活用し、高速かつ低遅延な通信環境を提供するという。

 
「Shibuya Sakura Stage」 外観イメージ

 3社は、環境問題をはじめとする社会課題の解決に向けて、先端的な利便性とサステナブルを両立した、環境にやさしいまちの実現を目指すことで合意。

 協業の第1ステップとして、東急不動産が広域渋谷圏(渋谷駅から半径2.5kmのエリア)で取り組むまちづくりにおいて、世界で初めてNTTが提供するIOWNサービスを先行導入する。先端的な価値を創出する環境先進都市のさまざまなモデルケースを作り、次世代社会らしい利便性の享受と環境負荷低減の両立を目指しつつ、協業のモデル地域として広域渋谷圏の東急不動産が関与する施設を対象に、IOWNサービスを活用したまちづくりを進めるとしている。

 IOWN構想では、端末を含むネットワーク・情報処理基盤により、高速大容量通信や膨大な計算リソースなどを提供することを構想している。光を中心とした革新的技術を活用し、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図るという。光電融合デバイスをネットワークだけでなくコンピューティングの世界まで適用し、大幅な電力削減を目指すとしている。

 広域渋谷圏にIOWNサービスを先行導入することで、消費電力を削減して環境負荷の小さいエリアへと変える。また、次世代的な価値を提供する社会実装フィールドとして捉え、IOWNサービスが進化していくステップに合わせて新たな価値の提供に取り組む。自分らしく働き、多様なエンターテイメントを楽しみ、刺激と憩いの溢れる便利なまちに住まうといった、「職・住・遊」を融合した環境にやさしい渋谷型都市ライフの実現を目指すとしている。

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 具体的には、「働く場所に縛られない次世代オフィステナント」「最新技術の粋を凝らした次世代商業フロア」「次世代サービスが身近になった暮らし」などの次世代社会を想定するという。居住者・ワーカー・テナントの課題・ニーズを拾い上げ、より多くの人に利便性を感じてもらえるようなサービスを検討するとしている。

 例えば、働く場所に縛られない次世代オフィステナントでは、複数オフィスの拠点間をIOWNサービスでつなぎ、高画質・大画面で互いの会議室を投影しながら、まるで対面しているかのようなオンラインミーティングが可能になるという。多言語ミーティング時にお互いの発言をリアルタイムで自動翻訳するといったことも期待できる。

 
 

 最新技術の粋を凝らした次世代商業フロアでは、IOWNサービスをサービスセンターなどの拠点と多拠点との大容量リアルタイム通信の手段として活用する。商業施設内にさまざまなロボット・デバイスを配置し、遠隔地からの接客を可能にした自動翻訳付きリモートコンシェルジュやリアル着せ替えカメラなど、次世代の商業施設体験が利用できるという。

 
 

 次世代サービスが身近になった暮らしでは、IOWNサービスの大容量・超高速通信の活用で、渋谷での生活を便利で充実したものにする次世代サービスを、身近な施設で気軽に体験できるようになる。身近なジムで遠方の著名なジムの専属トレーナーと一緒にトレーニングできる「スマートジム」の利用や、体脂肪率やトレーニング成果などをスクリーン上で可視化できるという。

 
 

 今後、広域渋谷圏に対して、ネットワークに限らず、更なるIOWNサービスについても、先行的に世界初の導入を検討していくとしている。

 NTTグループと東急不動産は、地球温暖化をはじめとする環境問題が世界中で深刻化して「SDGs」(持続可能な開発目標)への対応が求められる中、それぞれのアセットを生かした取り組みを進めている。

 東急不動産は、全社方針として「環境経営」を掲げ、環境を起点とした事業拡大を目指している。国内トップクラスの事業規模を持つ再生可能エネルギーの事業の推進に加え、2022年12月にはオフィスビルや商業施設など対象の全244施設にて、使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えを完了。都市緑化による生物多様性保全などについても、事業活動を通じた環境課題に取り組んでいる。

 NTTやドコモをはじめとするNTTグループでは、IOWN構想の研究開発を進めている。3月には、IOWNサービスの第1弾として、通信ネットワークの全区間で光波長を専有するオールフォトニクス・ネットワークサービスとなるAPN IOWN1.0の提供を開始した。

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