手書きのメモ、落書き、ノートブックや日記の作成については、18種類のテンプレートが用意されている。6種類の罫線付き、グラフ用紙、五線譜、To Doリストなどがある。ノートブックはフォルダーに整理でき、見出しで検索できるほか、Amazonによると2023年の前半には、ほかのデバイスでKindleアプリの同期機能を使ってノートブックにアクセスできるようになるという。
ただし、同じくKindle Scribeを試用してきたSarah Lord記者は、こう指摘している。「これらの機能は確かに素晴らしいが、ノートブックにはスマート機能が欠落している。例えば、数式を挿入したり、手書き文字をテキストに変換したりする機能がない。また、図形や直線を描くときの補助機能もない。ノートブックは電子メールでエクスポートできるが、『Dropbox』などのサードパーティーサービスには対応していない」。こうした点をあまり問題視しない人もいるかもしれないが、要するに、本格的にメモ帳として使いたい層にとっては、機能が足りないということだ。
Lord記者は、純粋なメモ帳として使うE Inkタブレットなら「reMarkable 2」の方が好みだという。だが、reMarkable 2は電子書籍リーダーとして限界があるし、Amazonの広大なKindleエコシステムやその膨大な電子書籍ライブラリを利用できないことはいうまでもない。
多くの人が悩むのは、Kindle Scribeを購入すべきか、それとも新型のiPad、あるいはAndroidでベストのタブレットである(というのが定評の)サムスンの「Galaxy Tab S」シリーズを買うべきかということだ。iPadの場合はスタイラスペンを別途購入する必要があるものの(サムスンの「Galaxy Tab S8」シリーズにはスタイラスペンが付属している)、機能はずっと多いし、パフォーマンスも軽快で、カラーディスプレイの解像度も高い(カラーのE Inkに依然として対応していないのは残念だ)。iPadでも、メモはとれるし文書に書き込みもできる。しかも、特にキーボードを接続すれば、基本的にはコンピューターとして使うことができる。
だが、前述したようにKindle Scribeは、特定の目的があって、集中を妨げられないデバイスを求めている人に向いている。ソフトウェアや機能のアップデートがあれば、需要が拡大する余地はあると思う。そのアップデートの一部は、2023年に予定されている。
タブレットと比べると、バッテリーの持続時間もずっと長い。電子書籍リーダーとして使うだけなら、最大で3カ月まで持つ(読書時間を1日30分として計算)。ただし、メモ機能も使うとバッテリー消費はかなり増え、持続時間もかなり短くなる。それでも、使い方次第だが、メモや落書きをしながらでも数週間は持続できる。充電端子はUSB-Cで、ケーブルは付属するが電源アダプターは付属しない。9W以上のアダプターを使うと充電が早くなる点は、「iPhone」やAndroid端末の場合と同じだ。
サイズと重量を考えると、Kindle Scribeは持ち歩くには少しかさばる。もっと小さい普通のKindleがコートのポケットに収まることを考えるとなおさらだ。とはいうものの、全体として、大型の電子書籍リーダーとE Ink採用の手書き対応タブレットという両者のバランスの良さは見事だ。人によっては、高い価格設定にも、書き込みやメモ書き機能の粗さにも不満を感じるかもしれないが、筆者は今後の何カ月かで改善されることを期待している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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