「Kindle Scribe」レビュー--アマゾン初、高精度のペン入力付き電子書籍リーダー - (page 3)

David Carnoy (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年12月08日 07時30分

 筆者は「Kobo Elipsa」を使ったことがある。おそらくKindle Scribeと直接競合する製品で、しばらく前から販売されている。価格は、専用カバーやスタイラスペンが付属するバンドルで399.99ドル(4万6990円)。フロントライトも備えているが、大きな違いは、ディスプレイが227ppiという点で、Kindle Scribeの300ppiと比べると、その差は一目瞭然だ。

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提供:David Carnoy/CNET

 Kobo Elipsaの場合、Koboの電子書籍に直接書き込みができる。一方、Kindle Scribeでは残念ながら、Kindleの電子書籍はおろか、DRMフリーのEPUB形式のコンテンツ(コピー対策されていないEPUBファイル)にすら直接書き込むことはできない。電子書籍の場合は、Amazonの付箋に似た機能を使う必要がある。これはほかのKindle端末にある付箋と似た機能で、単語を長押ししてから、選択したい語句や文をペンでなぞる。ペン先を離すと、手書きかテキスト入力でノートを作成するオプションがあり、語句や文をハイライトしたり共有したりもできる。

 筆者自身は、本に書き込みをしたり、余白にメモをとったりする習慣がないので、付箋機能だけでも気にはならない。だが、今は紙の教科書に書き込みをする学生も多いので(筆者の子どもたちもそうだ)、余白にメモをとったり、文でも何でも丸で囲んだりできると便利だろう。

 今のところ、各種の形式のファイルや文書をインポートして、それに書き込むことならできる。PDF文書はインポートして直接ページに書き込みができ(PDF形式の電子書籍なら書き込みができるとういうことだ)、Amazonの「Send-to-Kindle」機能を使えばインポートは簡単だ。Send-to-Kindleのウェブページを開き、PDFファイルをボックスにドラッグするだけで、Kindleに転送される(ほかに、「iOS」版や「macOS」版、Android版のKindleアプリを使う、電子メールを使うなどの方法もある)。ファイルのエクスポートも、電子メール経由で簡単にできる。

 惜しいことに、PDFへの書き込みは、ほかのEインクタブレットほどスムーズではなく、直感的でもない。PDFを開いているときは、フォントサイズもレイアウトも調整できないので、拡大や位置の変更にはピンチとズームの操作が必要になる。その操作は問題ないし、自分が見やすいズームレベルを見つけるのも難しくはない。問題は、PDFをちょうどよいズームレベルで表示しても、そのままにできないことだ。ローンチ時のソフトウェアでは、ページ間でズームレベルを維持することができない。スワイプして次のページに進むには、まずわざわざズームアウトしてから、もう一度、表示を決め直さなくてはならない。これでは、ページ数の多いPDFを読むときには煩雑だ。

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提供:Amazon

 PDF以外に、「Microsoft Word」の文書(DOCX、DOC)やHTML、EPUB、TXT、RTF、JPEG、GIF、PNG、BMPといったテキストおよび画像形式のファイルをインポートして手書きの付箋メモを作ることもできるが、マンガやグラフィックノベル、雑誌、新聞などには対応していない。Kindleシリーズの最近の製品と同じく、「Audible」オーディオ形式(AAX)や「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能)」対応の音声を、Bluetoothイヤホンやスピーカーで聞くこともできる。また、Amazonによると、Word文書の中で、その文書をコンピューターから直接Kindle Scribeにエクスポートできるよう、Microsoftと協力を進めているという。この機能は、同期の機能とともに2023年に導入される予定だという。

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