「Apple Watch」とどう同じでどう違う?--グーグル「Pixel Watch」実機レビュー - (page 2)

 Pixel Watchのヘルスケア機能には、Google傘下となったFitbitの機能がまるごと採用されている。

 Apple Watchでは、ワークアウトは「フィットネス」アプリ、日々のアクティビティや睡眠、月経周期などは「ヘルスケア」アプリで管理するが、Pixel Watchではこれらのフィットネス&ヘルスケアデータをすべて、別途インストールする「Fitbit」アプリで管理する。利用にはFitbitのユーザー登録も必要。Fitbitのスマートバンドやスマートウォッチを使用した経験があれば、同じアカウントを設定することでデータを引き継げる。

 搭載されているセンサーは光学式心拍数センサー、多目的電気センサーなど。スペックにはほかに血中酸素センサーの記載もあるが、これは睡眠測定時に使用されるもので、血中酸素ウェルネスのモニタリング機能には対応していないという。なお日本では未承認のため使用できないが、実は心電図がとれる機能も備わっている。このほかにもコンパスやGPS、高度計、加速度計、ジャイロスコープ、周囲光センサーが搭載されている。

一方、Apple Watch Series 8には血中酸素ウェルネス、心電図のほか、新たに皮膚温センサーも追加されている。センサーの充実度では、こちらに軍配が上がるだろう。さらにApple Watchでは一定の強度で歩いたり、走り始めると、自動的にワークアウトとして認識してくれるが、Pixel Watchにはそうした機能がないようだ。その代わりに記録できるエクササイズは、40種類と豊富に用意されている。

 Fitbitではストレスや睡眠のモニタリング機能が充実していて、Pixel Watchを着けて眠ることで、深い眠りやレム睡眠などの睡眠ステージ、それらをトータルで評価した睡眠スコアがチェックできる。

 Apple Watchも、「watch OS9」から睡眠ステージが記録できるようになったが、Fitbitではより詳しい説明やアドバイスが読める。Fitbit Premiumのサービスではさらに、長期にわたる睡眠の分析やレポートも提供される。

フィットネス&ヘルスケアデータはFitbitアプリで管理。コミュニティやバッジなど、健康管理のモチベーションを高める機能が充実している
フィットネス&ヘルスケアデータはFitbitアプリで管理。コミュニティやバッジなど、健康管理のモチベーションを高める機能が充実している
Pixel Watch(Fitbit)の睡眠スコア&睡眠ステージ画面。さすがはパイオニアだけあり、詳しく分析されている
Pixel Watch(Fitbit)の睡眠スコア&睡眠ステージ画面。さすがはパイオニアだけあり、詳しく分析されている
Apple Watchの睡眠ステージ画面。呼吸や心拍数のデータも見られる
Apple Watchの睡眠ステージ画面。呼吸や心拍数のデータも見られる

 Apple Watchには転倒を自動検出して通報する機能があるが、今冬Pixel Watchにも同様の機能が追加される予定。転倒時に救急サービスに自動連絡する。また、いざというときあらかじめ設定した緊急連絡先や緊急通報番号に通知できる機能も用意されている。

アプリケーション

 App Storeを通じて様々なアプリを追加し、機能を拡充できるのはApple Watchの大きな魅力だが、Pixel Watchでも同様にGoogle Play ストアからアプリを追加できる。

 すでにLINEやSpotify、adidas Running、ヤマレコなどのアプリが公開されているが、Apple Watch対応のアプリに比べるとさすがにまだ数が少ない。

 サードパーティ製のアプリはこれからだが、Googleの各種サービスと連携するアプリや機能はかなり充実している。たとえば「マップ」ではGoogleマップで最近検索した場所を履歴から選び、徒歩や自転車、クルマの現在地からのルートをナビゲーションできる。「予定リスト」では、Googleカレンダーの予定の一覧表示が可能。また通知からGmailの受信メールを確認して、返信やアーカイブの操作もできる。

 テキストは音声入力のほか、特殊な日本語キーボードを表示してタイプすることも可能。Apple Watchでもwatch OS 9からフリックキーボードによる日本語入力ができるようになったが、どちらも画面が小さいため、入力しやすいかどうかは微妙なところだ。

Pixel Watchの日本語キーボード(左)と、41mmのApple Watchにフリックキーボードを表示したところ(右)。いずれもかなり文字が小さい
Pixel Watchの日本語キーボード(左)と、41mmのApple Watchにフリックキーボードを表示したところ(右)。いずれもかなり文字が小さい

 プレビュー版の機能ではあるが、Pixel WatchはGoogle Homeとも連携する。照明器具やスマート家電をGoogle Homeに接続していれば、手元でオン、オフなどの操作が可能。ちなみにサイドボタンの長押しで起動するGoogleアシスタントに話しかける方法でも、同様の操作ができる。

 Apple WatchでもSiriに話しかけて様々な操作ができるが、Googleアシスタントの方ができることは多いように思う。いろんな質問に答えてくれるのはもちろんだが、通訳などの機能が使えるのも有り難い。

Pixel Watch向けのアプリ一覧。まだ数は少ないが今後に期待したい
Pixel Watch向けのアプリ一覧。まだ数は少ないが今後に期待したい

電池持ちと耐久性

 ほかにもスマートフォンが見当たらなくなったときに、手元のウォッチから遠隔操作で音を鳴らせる機能や、ウォッチをスマホカメラのリモコンとして使える機能など、Pixel WatchとApple Watchに共通する便利機能はまだある。

両者とも他のスマートウォッチに比べてできることが多い一方で、毎日充電が必要という、あまりうれしくない共通点もある。Apple Watch Series 8のバッテリー駆動時間が最大18時間なのに対して、Pixel Watchのバッテリー駆動時間は最大24時間。Pixel Watchの方が少し長いが、実際に左右の手首に装着して過ごしたところ、まる1日程度で両方とも電池切れとなってしまった。

 睡眠の記録のため、夜は装着して眠りたい。Apple Watch Series 8は45分で80%(20WのACアダプタとのケーブルを使用した場合)、Pixel Watchは約55分で80%(18WのACアダプタとのケーブルを使用した場合)の急速充電が可能とのことなので、お風呂のタイミングなどすきま時間にこまめに充電するしかなさそうだ。

丸型の充電ケーブルが付属。ACアダプターは付属しないため、別途用意する必用がある
丸型の充電ケーブルが付属。ACアダプターは付属しないため、別途用意する必用がある

 こうして比べてみると、Fitbitのフィットネス&ヘルスケア機能とGoogleサービスとの強力な連携を両輪とするPixel Watchは、Apple Watchのなかなか強力な対抗馬となり得るように思える。センサーや電子マネーなどまだ物足りない部分もあるが、為替レートに対して戦略的な価格にはバリューもある。あとはアプリがどれだけ充実してくるか。Wear OSのエコシステムの広がりに注目したい。

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